世界の医療制度改革―質の良い効率的な医療システムに向けて

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  • サイズ B5判/ページ数 151p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784750320403
  • NDC分類 498.13
  • Cコード C0047

出版社内容情報

新たな医療関連技術、長期介護、民間保険、医療費のコントロール、医療への平等なアクセス、医療従事者の増加と生産性などの多岐にわたるテーマについて、加盟各国のデータをもとに、医療パフォーマンスの効率化に向けた制度改革を提案する。

日本語版刊行によせて
訳者序文
序 文
はしがき
概 要
はじめに
第1章 より良い医療を通じた健康水準の向上:医療の質を求めて
 人口全体で見た健康水準の劇的な向上
 健康結果(health outcome)の国ごとの違い
 医療の質に係る重大な欠陥
 医療の質の改善に向けた手段・戦略
 医療の質に係る各国間の相違に関する情報の拡充
 健康水準および医療の質を向上させるためのアプローチ:結論のまとめ
第2章 医療へのアクセス:向上および維持を求めて
 公的な制度または私的保険は医療へのアクセスおよび金銭的保護を進めるために重要である
 アクセスへの障害の中にはなかなか解消できないものもある
 医療提供者の適切な供給の確保
 適切に組み合わせられた介護サービスの利用可能性の保障
 新しい医療関連技術へのアクセス
 適切かつ公平なアクセスの保障のためのアプローチ:結論のまとめ
第3章 満足した患者・消費者:ニーズへの対応の在り方の改善を求めて
 選択的手術のための過度の待機期間に対処する政策
 患者・要介護者および介護者の選好および期待により良く適合した介護サービス
 医療保険のるためのアプローチ:結論のまとめ
結 論 OECDヘルス・プロジェクトにおける結論:医療制度の実績を向上するための有望なアプローチ
参考文献
囲み記事
 記事1.1 肥満:公衆衛生上の脅威
 記事1.2 選択的手術のために待機することが健康上より悪い結果をもたらすことになるのか
 記事1.3 医療の質の向上:政策上の選択肢
 記事1.4 質を監視するメカニズム:OECD諸国の例
 記事1.5 介護サービスの質の向上に向けた動き
 記事1.6 医療における情報伝達技術の応用
 記事1.7 医療の質について国際比較を行う上での課題および国際比較を行うことの意義
 記事2.1 医療へのアクセスの向上:OECD諸国における最近の取り組み例
 記事2.2 私的医療保険の利用可能性や低価格化を進めるための施策
 記事2.3 医師の移住を活発化する施策:英国の経験
 記事2.4 医療技術の採用および普及の割合に関する各国間の相違点
 記事2.5 将来の技術によって課される意思決定上の課題
 記事3.1 なぜいくつかのOECD諸国では選択的手術のための過度の待ち時間が存在するのか
 記事4.1 韓国での医療費抑制への取り組みの中での患者一部負担の影

"訳者序文
 経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development, OECD)は、もともとは国際経済について協議することを目的として設立された国際機関であったが、近年では、その他の分野にも活動範囲を拡大してきており、医療(介護)政策分野における研究に関しても数々の成果を残している。本書は、過去3年間の「OECDヘルス・プロジェクト」の中で進められてきた医療制度の実績評価や各制度の実績の違いに関する要因分析、高齢者介護、全体的な制度の評価等に関する数々の研究における成果の総括報告書として、2004年5月の第1回OECD保健大臣会合に提出されたものである。
 本書では、医療の質、医療へのアクセス、患者・要介護者のニーズへの対応、医療費及び医療財政、制度全体の効率性の向上等が大きなテーマとして取り上げられている。特に、これまでのOECDの医療(介護)政策研究においては、制度的・経済的な視点や財源論が強調されがちであったが、本書においては、医療(介護)の質を含めた「サービス利用者のニーズ」への対応に力点を置いたものとなっていること、政策担当者としていかに具体的な制度を構築していくかといった視点にも配慮しつつまとめらの短縮や介護サービスの質の改善を中心として、より主観的な要素である患者の満足度を向上させるための取り組みについて論じている他、医療・介護サービスに対して利用者が持つ選択の幅の拡大という観点から保険者間における競争の重要性についても指摘している。
 次に、第4章および第5章では、それまでの章とは観点を逆にして、医療・介護サービスの提供にかかるコストを分析の中心に置き、それらのコストを勘案した上でいかに効率性の高い医療制度を作っていくことが重要であるかについて論じる形をとっている。第4章においては、持続的な財源の確保策について重点的に論じている他、財源という観点からみたときに、私的医療保険の役割が十分に発揮されるためには適切な政府の関与が必要であること等を指摘している。また、さまざまなコスト抑制手法の長所・短所についても論じている。その上で、第5章においては、「効率性の向上」を、医療制度による実績を改善しつつ費用を節約するための唯一の方法として位置づけ、その実現のためのさまざまな方策についてその長所・短所を論じている。最後に、本章では、「バリュー・フォー・マネー(費用に見合った価値)」という目標を達成するために析を行った研究論文がいくつか掲載されているので(訳者も執筆陣の1人)、興味のある方はそちらも参照していただきたい。(後略)"

目次

第1章 より良い医療を通じた健康水準の向上:医療の質を求めて(人工全体で見た健康水準の劇的な向上;健康結果(health outcome)の国ごとの違い ほか)
第2章 医療へのアクセス:向上および維持を求めて(公的な制度または私的保険は医療へのアクセスおよび金銭的保護を進めるために重要である;アクセスへの障害の中にはなかなか解消できないものもある ほか)
第3章 満足した患者・消費者:ニーズへの対応の在り方の改善を求めて(選択的手術のための過度の待機期間に対処する政策;患者・要介護者および介護者の選好および期待により良く適合した介護サービス ほか)
第4章 医療費支出:支弁可能なコスト水準と安定的な資金供給を求めて(医療費の上昇とその影響;医療費抑制に係る経験 ほか)
第5章 医療制度における「バリュー・フォー・マネー」の向上:効率性を求めて(医療制度の非効率性を示す証拠;疾病予防および健康増進に対する投資の費用対効果 ほか)

著者等紹介

阿万哲也[アマンテツヤ]
厚生労働省健康局総務課。前国立社会保障・人口問題研究所企画部第一室長。宮崎県生まれ。京都大学法学部、マニトバ大学(カナダ)法学部大学院(修士課程)卒業
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