出版社内容情報
今なお世界の貧困地域で人々を苦しめるハンセン病の世界的制圧を目指す財団理事長の悲願とその行動。いかに医療の向上を図り、患者をなくしていくか。いかに社会的差別をなくしていくか。患者という個人の治療と偏見という社会の病を治す活動を記録する。
はじめに
1 これまでとこれから
1章 父・笹川良一の志
1 ハンセン病制圧は笹川良一の夢だった
2 ハンセン病のための笹川記念保健協力財団を設立する
3 WHO(世界保健機関)との連携は父の遺した最大の遺産
2章 ハンセン病の苛酷な歴史
1 差別の歴史
2 差別は過去のものではない
3章 ハンセン病制圧に向けて――WHOのハンセン病制圧特別大使として
1 制圧のための特別大使に任命される
2 未制圧国の現状と最近制圧に成功した国
3 制圧から根絶への問題点を考える
4章 人間の尊厳を求めて
1 これからは回復者が主役
2 回復者のネットワーク・「アイデア」発足
3 ハンセン病の人権問題を世界に訴える
5章 解決への道
2 訴え続けて
1 国際会議での訴え
(1)第五回フォーラム2000会議――ハンセン病に見る人権問題(二〇〇一年一〇月一五日)
(2)第六〇回国連人権委員会(二〇〇四年三月)
2 メディアでの訴え
(1)ハンセン病 次は差別解消だ(『読売新聞』二〇〇一年五月三一日)
(2)「父の夢」実現を法王に……(『産経新聞』二〇br> (2)マダガスカル(『愛生』二〇〇四年三月号)
(3)インド(『姶良野』二〇〇四年陽春号)
(4)マルタ共和国(『新生』二〇〇四年六月・第二号)
(5)インド(『高原』『青松』二〇〇四年六月号)
(6)ネパール(『楓』二〇〇四年七・八月号)
(7)ブータン王国(『ナイスパル』二〇〇四年七月号)
(8)チリ・ブラジル(『駿河』二〇〇四年秋号)
おわりに
参考文献・初出誌発行元
はじめに
私の一文が二〇〇三年八月二七日付け読売新聞『論点』に「人権から見たハンセン病」と題して掲載されました。これを読まれた明石書店の石井昭男社長から「世界のハンセン病の現状」を書いてはとのお誘いを受けたのがことの始まりです。過去、気軽に新聞連載を引き受け七転八倒の思いをした経験があります。一冊の書籍を書き上げることの厳しさは十二分に承知しています。安請け合いは禁物と考えました。また、ハンセン病制圧の活動で海外出張も多く時間的余裕もありませんでした。
しかし、明石書店からの「それでは口述し、まとめることでは」との再度のお誘いがあり、そのご厚意に甘えることにしました。本書は、三冬社の野中文江さんによる精力的なまでの資料の読み込み、そして的を射た質問によって生まれたものです。
世の中には日ごろ話題になることなく表面化もしない多くの問題が存在します。本書を通じてそうした事実の一端を読者に知っていただければ私にとってこのうえない喜びです。
上梓直前の二〇〇四年一〇月、私はWHO(世界保健機関)ハンセン病制圧特別大使として読売国際協力賞を受けました。受賞を機にさらにハンセン病制圧と患者、回復者の人権問
内容説明
なぜ、いまハンセン病か。世界的視点から病気と差別に立ち向かうある日本人の記録。
目次
1 これまでとこれから(父・笹川良一の志;ハンセン病の苛酷な歴史;ハンセン病制圧に向けて―WHOのハンセン病制圧特別大使として;人間の尊厳を求めて;解決への道)
2 訴え続けて(国際会議での訴え;メディアでの訴え;ハンセン病制圧特別大使―ニューズレターでの呼びかけ;各国訪問の中で)
著者等紹介
笹川陽平[ササカワヨウヘイ]
昭和14年東京生まれ。明治大学政経学部卒。現在、全国モーターボート競走会連合会名誉会長、日本財団理事長、世界69大学を学ぶ奨学金ネットワーク、中国の医師2000名のための研修制度の設置、アフリカの食糧増産運動やチェルノブイリ原発事故の被災児20万人の検診などを手がける。世界的視野に立ったNGO活動の立案・実行の第一人者。ロシア友好勲章、ミレニアム・ガンジー賞、チェコ・ハベル大統領記念栄誉賞、読売国際協力賞など受賞多数
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