図表でみる世界の障害者政策―障害をもつ人の不可能を可能に変えるOECDの挑戦

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  • サイズ B5判/ページ数 231p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784750319766
  • NDC分類 369.27
  • Cコード C0036

出版社内容情報

各国の補償的障害者政策と雇用指向型障害者政策の関係を調査分析し、障害をもつ人が所得を得られる仕事に就けるよう奨励することと障害をもつ人の所得を保証すること、という本来矛盾する2つの目標を調和させる新たな障害者政策を提示する。

序文
第1章 重要な調査結果の概要
1.1 報告書の構成
1.2 現状
1.3 障害者政策の挑戦
1.4 政策についての結論
第2章 報告書の目的と分析のための枠組み
2.1 序論
2.2 プロジェクトの目的
2.3 概念的枠組み
第3章 障害をもつ人の所得と労働力参加に関する事実
3.1 就労年齢にある障害をもつ人口の確認
3.2 所得保障:主なねらいは達成されるか
3.3 労働統合──労働市場への参加は十分か
3.4 労働力参加と所得保障は公共政策によって説明できるか
3.5 現状の概要
第4章 補償政策の挑戦
4.1 障害給付の永続性
4.2 障害給付の水準と給付の罠
4.3 適用範囲の食い違い
4.4 給付へのアクセス
4.5 障害給付の年齢プロファイリング
4.6 評価手続き
4.7 疾病、障害、労働関連災害の給付
4.8 障害給付と失業給付
4.9 障害給付と早期退職給付
4.10 補償政策の分析の調査結果の概要
第5章 統合政策の挑戦
5.1 雇用促進のための法的枠組み
5.2 雇用主の義務
5.3 職業リハビリテーションと職業訓練


訳者あとがき
 国際社会において障害者政策が意識されはじめたのは、ほんの30年ほど前のことにすぎない。しかしこの間、国連の活動を見てもその動きは急速に進んでいる。重要な決議だけでも、障害をもつ人の権利を明確に宣言した1975年「障害者の権利宣言」、完全参加と平等を宣言した1981年「国際障害者年」、1982年「障害者に関する世界行動計画」、1983年から1992年までの「国連障害者の10年」で、加盟国に対して障害関連諸問題に積極的に取り組むことが要請された。また具体的な政策措置の指針として1993年「障害者の機会均等化に関する基準原則」、インクルーシブな社会を実現するためのより具体的な提案を示した1999年「障害者に関する世界行動計画の実施──21世紀におけるみんなの社会を目指して」が採択され、現在、障害をもつ人の権利と尊厳に関する条約の具体化が進んでいる。
 また各国でも、それぞれの国内事情に合わせた障害者政策は早くから行われていたが、国連の動きに呼応して、1990年代中期ごろからその検討や再方向づけが本格的に進められてきている。たとえば、1990年ADA(障害をもつアメリカ人法)や1995年DDA(イギリスつある一方で、その具体的な政策の指針や定義が不完全な状態であり、しかもそれが各国の特に経済的・社会的状況を正しく認識した上での提言となっていないことにも一因があるようである。
 こうした視点から今回のOECDレポート『図表でみる世界の障害者政策』を捉えるならば、このレポートには注目すべきいくつかのポイントがある。ひとつは、障害者政策の理念を実現する上で絶対に避けて通れない「雇用」と「所得保障」を包括的に捉え、補償指向型の政策と雇用に中心を置いた統合政策を分析し、それぞれの政策の成果を横断的に比較検討している点である。ある意味で相反する2つのパラメターを総合的に取り扱うことで、理念先行型ではなく、現実に根ざした釣り合いの取れた政策の基礎が提供されている。2つ目に、1990年代の各国の状況を反映したデータを中心に組み立てられている点である。1990年代は、上記のように、国連の「基準原則」をベースに各国で障害者政策が大きく展開あるいは転換した重要な時期である。この時期の状況を正しく分析することは、各国が今後の政策のあり方を具体的に検討する上での貴重な作業といえるであろう。3つ目に、そうした客観的なデータ分析の結果から

目次

第1章 重要な調査結果の概要
第2章 報告書の目的と分析のための枠組み
第3章 障害をもつ人の所得と労働力参加に関する事実
第4章 補償政策の挑戦
第5章 統合政策の挑戦
第6章 障害者政策の類型化
第7章 最近および今後の政策改革
第8章 政策についての結論
付属資料

著者等紹介

岡部史信[オカベフミノブ]
1963年、富山県生まれ。創価大学法学部助教授。障害者政策研究会事務局長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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