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インドネシアを知るための50章

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  • サイズ B6判/ページ数 273p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750319308
  • NDC分類 302.24
  • Cコード C0336

出版社内容情報

東南アジア諸国の中でも日本と特に関係の深いインドネシア。観光スポットとしても人気の高い同国の魅力を,「バティック」「エビ」「石油」など,50の「モノ」をキーワードに,民衆の視点から,政治,経済,社会,歴史,文化を幅広く紹介する。

はじめに
第1章 ルピア――いまだ続く通貨危機の影響
第2章 金――戦後賠償の黒い影と経済スキャンダルのシンボル
第3章 銅――鉱山開発と住民の犠牲
第4章 アルミニウム――日・イ双方の思惑が絡んだプロジェクト
第5章 ニッケル――鉱山と土地問題
第6章 石油・天然ガス――権力の資金源
第7章 ヤシ――ヤシをめぐる超能力者とふつうの人びと
第8章 パームオイル――「清潔」「健康」志向と森林火災
第9章 合板――巨大財閥が進めた森林破壊
第10章 エビ――集約養殖とマングローブ林伐採
第11章 マグロ――外国漁船の半数は不法操業
第12章 カツオ――日本の食卓を支えるカツオと鰹節
第13章 ナマコ――海民と華人
第14章 真珠――日本人ダイバーの命懸けの産物・白蝶貝
第15章 コメ――村人たちは大食い早メシ
第16章 肥料――開発の功罪と経済危機をどう克服するか
第17章 テンペ――厳しい環境を飄々と行商するたくましい女性たち
第18章 ドリアン――トゲに覆われた果物の王様の素顔
第19章 アクア――改善進まぬ水道インフラ事業
第20章 粉ミルク――「向こう三軒両隣」で経済危機を乗り切る
第21章 コ形
第37章 ベチャ――利権がらみの交通行政
第38章 バティック――産業としての伝統
第39章 ジルバブ――権力争いに利用されるイスラーム
第40章 ジーンズ――若者ファッション観察
第41章 ナイキのスポーツ・シューズ――労働環境をより悪化させる経済のグローバル化
第42章 Tシャツ――政治色あふれるデザインの数々
第43章 ポスター――秘められた強い政治的影響力
第44章 メラ・プティ――偏狭な「民族主義」を象徴する国旗
第45章 名刺――学位を重視する国民性
第46章 爆弾――スハルト退陣後、頻発するテロ事件
第47章 ワニ――9・30事件とワニの穴
第48章 水牛――インドネシアの家畜・家禽
第49章 クスクスと極楽鳥――慣習法による資源管理と「生物多様性保全条約」
第50章 豚肉とピナン――パプア人の文化的アイデンティティ
インドネシアに関する基本文献
索 引

 少し変わったインドネシア・ガイドブックかもしれない。見ていただければすぐにわかることだが、この本は「モノで迫る」インドネシアである。これまでの多くのインドネシア「指南書」は、歴史、文化、政治経済等々、いわゆる社会のジャンルにしたがって書かれてきた。あるいは人物(スカルノとかスハルトとか)で書かれてきた。それはそれで必要な知識を与えてくれる。それも一応は系統的に与えてくれる。
 わたしたちは、この本をお引き受けするとき、インドネシアを「身近に感じる」、そして「わかりやすい」本にしたいと思った。ない頭をいろいろとひねった結果、モノでいこう!と決めた。インドネシアの人びと、そこを旅したり、そこに駐在したりする日本の人びとにとって、誰もが「モノ」なしでは暮らせないし、旅もできない。歴史だって見えない歴史もあれば遺跡のように見える歴史もある。自然も抽象的自然もあれば具体的な草や木や動物もある。インドネシアをとらえるにあたって欠かせないモノは何なのか。それを選び出すのにかなり苦労した。
 五〇のモノをああでもない、こうでもないと議論しながら抽出した。おそらくこれだけでインドネシアをすべて語れるはずはない。それぞれの権が生まれるのか?すべてがわからない。九八年のスハルト退陣以降、インドネシアは大揺れであり、六年経ったいまも、インドネシアがどこに向かうかすら定かではない。アメリカの進める「反テロ戦争」のなかでも、インドネシアは大揺れである。アル・カイーダ系といわれるジェマア・イスラミアによるあいつぐ爆弾事件、反米気運の盛り上がり、そしてアチェやパプアの独立運動、マルク紛争、ポソ紛争など地方騒乱、膨大な対外債務、失業者の急増と貧困層の拡大、問題は山積している。
 こうした情勢のなかで、本書が少しでもインドネシア理解に役立てば編者として大きな喜びである。事実誤認や思いちがいもあるかもしれない。読者のみなさまのご批判、ご叱正を賜りたい。

二〇〇四年六月
編者 村井 吉敬
   佐伯奈津子

目次

ルピア―いまだ続く通貨危機の影響
金―戦後賠償の黒い影と経済スキャンダルのシンボル
銅―鉱山開発と住民の犠牲
アルミニウム―日・イ双方の思惑が絡んだプロジェクト
ニッケル―鉱山と土地問題
石油・天然ガス―権力の資金源
ヤシ―ヤシをめぐる超能力者とふつうの人びと
パームオイル―「清潔」「健康」志向と森林火災
合板―巨大財閥が進めた森林破壊
エビ―集約養殖とマングローブ林伐採〔ほか〕

著者等紹介

村井吉敬[ムライヨシノリ]
上智大学外国語学部教授、アジア太平洋資料センター理事。専攻は東南アジア社会経済論

佐伯奈津子[サエキナツコ]
上智大学外国語学部非常勤講師、インドネシア民主化支援ネットワーク事務局長。専攻はインドネシア政治学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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kenitirokikuti

0
2004年刊行。新版もあるので比較のためこの後に▲アジア通貨危機の跡がいろいろ書かれている▲携帯電話。2000年の段階で、携帯契約率は1.7%、そもそも固定電話も3.1%。同年の日本では46%に59.7%▲ジルバブ。例のムスリム頭巾のこと。最近はヒジャブと呼ばれる(アラビア語かな?)。インドネシアの場合、「女性の人権抑圧」というニュアンスは伴わないようだ。2016/10/30

Sean

0
50項目にわたってインドネシアに関わるアイテムを解説していく本。賄賂・貧困等がインドネシアの問題として目に付く。貧困だから治安が悪い、治安が悪いと知的水準が低い、倫理観に乏しい、なんでもあり。何がいけないのか、どこから解決すれば社会が良くなるのか。よくわからない。この本を通して思ったのは、海外の理解って、その事物が何の歴史を背負っているか、どの宗教の産物かを考えるところにあるということ。まずは1冊読み終えた。2012/02/06

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