アスペルガー症候群と非言語性学習障害―子どもたちとその親のために

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  • サイズ A5判/ページ数 233p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750319018
  • NDC分類 378.6
  • Cコード C0036

出版社内容情報

異同について意見が分かれているアスペルガー症候群と非言語性学習障害について、子どもたちとその親に向けて平易に解説した本。それぞれの障害と関連の症状、それぞれに対する対処・指導方法と今後予想される課題などをとりあげる。

この本を読むにあたって
はじめに
第1部 非言語性学習障害およびアスペルガー症候群と関連のある症状の概観
第1章 非言語性学習障害およびアスペルガー症候群とは
非言語性学習障害およびアスペルガー症候群:目に見えない障害/神経行動学的障害とは/一般的な学習障害について/非言語性学習障害/脳:現在の理解/非言語性学習障害は、どのくらいよくある障害なのか/非言語性学習障害の診断/アスペルガー症候群/非言語性学習障害とアスペルガー症候群に重複する症状/アスペルガー症候群と高機能自閉症
第2章 長所と短所
はじめに、よい知らせから:長所/短所:でも、それは必ずしも悪い知らせではない/視覚-空間処理と感覚-運動統合/情報処理と組織化・系統化スキル/ソーシャルスキルと実践的言語の発達
第3章 非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもを理解することが、なぜ重要か
プログラムの必要性/注意欠陥障害/不安障害/強迫性障害/地区の教育委員会の診断対臨床診断/非言語性学習障害とアスペルガー症候群の継続教育の必要性
第2部 非言語性学習障害とアスペルガー症候群の影響
第4章 異なることばを話す子どもたち:ソーシャっくり時間をかけること/結果の予測/新しい対処方法/注意力と集中力の維持/時間管理の問題/計画し行動しよう/勉強のやり方/マルチタスキング/概念の形成と学習における問題/勉強のスキルと宿題/教える際に留意すること
第9章 動きのなかの身体:視覚-空間処理と感覚-運動統合の障害に対処する
触覚の敏感さ/聴覚の敏感さ/臭いと味への敏感さ/感覚統合の技術/「運動中の物体」/書字障害/その他の必要な援助/以上の指導や援助について最後に一言
第10章 社会的能力:自己、他者、自尊感情についての問題点
社会的なつながりを困難にするもの/鏡を覗き込むことと窓から眺めること/他の人たちに気づくこと/単純なソーシャルスキル:容易ではないが、そんなに複雑ではないもの/複雑なソーシャルスキル/自己焦点化の問題/新しいものを避ける/からかうこと、からかわれること/すべてを総合する/結語:自尊感情について
第11章 将来には何が待っているのか
「なんとかやっている」以上の取り組み/効果的プログラムの開発/振り子の揺れ/家族への影響/特別支援教育サービスを受ける資格/アセスメント/成人への移行/これからの研究
第12章 資源

はじめに
 この本を書く機会が与えられて大変感謝しています。わたしは、過去3年間、わたしたちのもとにゆだねられた非言語性学習障害(NLD)とアスペルガー症候群(AS)のティーンエイジャーの生活に変化をもたらそうと、日々、ひたむきに打ち込んで働いている、いわば、最前線にある人たちの活動に参加してきました。この3年間は長い旅路で、発見もあれば、失敗もありました。この本のおかげで、わたしはこれらの障害に関して、真実であると信じている見解について整理し提案する公開の機会を与えられました。何年か経てば、これらの見解がより深い知識の基礎となっているかもしれません。逆に、ほとんど意味がなかったという結果になるかもしれません。どちらにしても、そのような変化の過程には胸が躍りますし、この分野の未来に対して、わたしはとても大きな希望を抱いています。
 児童心理を専門領域とする者として、この仕事を通じて、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちやその家族とともに働くという特権を与えられてきました。長年にわたって、わたしは他の人たちと同じように、これらの子どもたちに対する自分の治療が効果をもたないという大きな悩みを抱えてきまグラムの眼目として、これらのアイデアが存在したのです。わたしたちが心に描いた高校、オライオン・アカデミーは、2000年9月にカリフォルニア州モラガに開校しました。この本を書いている現在、ちょうど開校後1年が経過したところです。素晴らしく胸を高揚させる1年であり、多くの成功と思いがけない喜び、そして、もちろん、いくつかの失敗を含みこんだ1年でした。
 ここで率直に申し上げなければなりませんが、ぶしつけな言葉で傷ついたり、事実を記述するにあたって「穏やかな」やりかたを好む人たち、つまり、事実を遠まわしに表現することを好む方々には、この本は読みづらいかもしれません。わたしは、元来、飾りのない話し方が好きですが、非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもたちと仕事をするなかで、直接的で正確な表現を避けることは何の役にも立たないという、わたしの信念は強められるばかりでした。この本を有用だと認めてくれない保護者の方々が理解に乏しいとは思いませんが、わたしがその方々にもっとも役に立とうと思えば、わたしが真実だと考えていることを伝えなければならないと感じています。
 わたしの信念のいくつかが間違っていることが、後になっーンエイジャー一人ひとりが、かれらの生活のあらゆる側面に影響を与える障害と格闘している素晴らしい人たちで、かれらの抱えている障害がどのような影響を与えているのか、わたしたちはやっと気づき始めたところなのです。かれらのケアをするわたしたち大人の役割は、かれらを支援し慈しむことですが、同時に、本当は到達することができるはずの基準に達するよう、かれら自身に責任をとらせることでもあります。
(中略)
 読者の方々にとって、この本に示されたアイデアが役に立ち、有益な情報を含み、魅力あるものと感じられ、皆さまの仕事や家庭生活に取り入れてくださることを願っています。また、非言語性学習障害やアスペルガー症候群に対する考え方が、より幅広いものとなりますように。そして、もっとも大切なこととして、この本がきっかけとなって、読者の誰かがこの仕事に加わり、非言語性学習障害やアスペルガー症候群に関して、わたしたちの共有する知識を広げ、わたしたちの治療のための教育・指導をさらに効果あるものとしてくれることを切望しています。

目次

第1部 非言語性学習障害およびアスペルガー症候群と関連のある症状の概観(非言語性学習障害およびアルペルガー症候群とは;長所と短所;非言語性学習障害やアスペルガー症候群の子どもを理解することが、なぜ重要か)
第2部 非言語性学習障害とアスペルガー症候群の影響(異なることばを話す子どもたち:ソーシャルスキルの発達と社会的情緒的機能;空間での混迷:視覚‐空間処理と感覚統合;問題の根源:情報処理と組織化・系統化の問題)
第3部 何をすればよいのか?対応と計画(「わかること」:情報の組織化・系統化スキルと情報処理の障害への対処;学び方を身につける:学習体験を成功させるための指導;動きのなかの身体:視覚‐空間処理と感覚‐運動統合の障害に対処する ほか)

著者等紹介

スチュワート,キャスリン[スチュワート,キャスリン][Stewart,Kathryn]
カリフォルニア大学、サンフランシスコ州立大学大学院で心理学を学び、ライト研究所において博士号取得。小児期と思春期の心理学を対象とする臨床心理学者として活躍する。非言語性学習障害ならびにアスペルガー症候群の子どもたちの学習のためのプログラム開発に従事してきた。2000年9月カリフォルニア州立モラガにオライオン・アカデミーを開校し、実践を行っている

榊原洋一[サカキハラヨウイチ]
1951年生まれ。1976年東京大学医学部卒業。医学博士。現在、東京大学医学部小児科医講師。専門は小児神経学、発達医学

小野次朗[オノジロウ]
1978年大阪大学医学部卒業。小児神経科医。現在和歌山大学教授。オハイオ州立大学コロンバス小児病院臨床薬理部門クリニカル・フェロー、大阪大学小児科助手、市立豊中病院小児科部長、大阪大学小児神経グループチーフを経て現在に至る

足立佳美[アダチヨシミ]
1996年大阪大学大学院医学研究科(社会医学専攻)博士課程修了。現在、近畿福祉大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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小鳥遊小鳥

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所謂LDの枠で括り切れないLDについての解説書かと思ったのですが違いました。アスペルガーと、アスペルガーと似ているけれども違う非言語性学習障害についての本でした。広義のLDとしての非言語性LDについての本を期待していたのでそういう意味では……でした。2016/04/15

chikako

0
自分はNLD(NVLD)です。なので自分を知るために読みました。実に詳しく書かれていて、恩に着てます。でもASPの理解には向かないかな?2015/06/29

ひよ

0
あまり注目されていない非言語性学習障害(非言語性LD)とアスペルガー症候群の類似性と違いについてまとめられています。発達障害の基礎知識がないとかなり難しい一冊です。

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