障害児教育の歴史

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  • サイズ A5判/ページ数 288p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750318011
  • NDC分類 378
  • Cコード C0036

出版社内容情報

過去から現代へ――。障害児教育史の基本的知識、先行研究など、障害児教育を学ぶ学生が学習すべき基礎的教養を纏めた決定版。戦後障害児教育資料、年表、博士論文書誌情報など、資料も満載。

第1部 障害児教育史●世界編

第1章 障害児教育の黎明──近代以前の障害者と障害児の教育
 第1節 はじめに
 第2節 先史時代における障害者
 第3節 古代ギリシャ・ローマ時代と障害者
 第4節 中世・ルネッサンス・宗教改革と障害者
 第5節 近世における障害者
第2章 障害児教育の本格的始動
   ──市民革命・産業革命期の障害児教育
 第1節 はじめに──近代における障害児教育成立の諸条件
 第2節 聾児の教育の拡大と公共化
 第3節 盲児の教育の創始と学校教育への展開
 第4節 「精神薄弱児」の実験的教育、学校としての創始、施設化への逆転
 第5節 盲聾唖児・肢体不自由児・重度「精神薄弱児」の教育機会
 第6節 むすび──19世紀末における公共化の分裂
第3章 公教育制度と障害児教育
   ──帝国主義・ファシズム期の障害児教育
 第1節 帝国主義・ファシズムの時代と公教育の整備・再編
 第2節 盲・聾(唖)教育の発展と軽度障害児教育の開始
 第3節 「特殊教育」の成立とその論理
 第4節 教育内容の独自性と特殊化
 第5節 権利思想・優生思想と「精神薄弱者」処遇の変容
第4における障害児教育の成立・展開と変質
 第1節 明治後期~大正前期の障害児教育──慈善主義の支配とその克服への志向
 第2節 大正後期~昭和初期──大正デモクラシーの高揚と障害児教育の発展
 第3節 十五年戦争と障害児教育──昭和ファシズムと障害児教育の変容・崩壊
第3章 戦後「特殊教育」制度の整備と問題点
 第1節 戦後の教育改革と障害者教育──憲法・教育基本法制の成立と特殊教育の制度化
 第2節 戦後特殊教育振興策としての障害児教育の普及とその階層化
第4章 権利としての障害児教育の展開と課題
 第1節 権利としての障害児教育運動と養護学校義務制の実施
 第2節 「完全参加と平等」の実現と障害児教育の拡充・転換(1980年代-現在)

第3部 障害児教育史研究の到達点と課題

《地域障害児教育史》
 アジアの障害児教育史(1)──南アジア(スリ・ランカを中心に)…古田弘子
 アジアの障害児教育史(2)──韓国近代特殊教育史研究の概観と課題…鄭仁豪
 北欧におけるインテグレーション(インクルージョン)の成立と展開…石田祥代
 福祉国家と障害者教育…二文字理明
 日本障害児教育史の時期区分

 本書は、障害児の教育の歴史について基本的な知識を得て、今後の障害児教育を展望するための学習書である。通史は、外国編(第I部)と日本編(第II部)から構成されており、障害児教育を学ぼうとする学生が学習すべき基礎的教養である。障害児教育史をあらためて学習しようという方々にも有用と思われる。また付録の年表は障害児教育史の全体的な理解に役立つことを意図している。第III部は、日本における障害児教育史研究の到達点を整理したものであり、修士論文等を構想する際に参考になろう。内容の一つは、大半が若い研究者による意欲あふれたトピック的研究、もう一つは、公刊された博士論文の要旨を掲載した。
 歴史は、元来、未来志向の分野である。historyは語源のギリシャ語で、知ること、調べることで得た知識という意味であり、学識ある賢明な人、理知と同語であるという。障害児教育史研究もまた、先人の事績をたどり、その背景を把握したうえで、現実を認識し、今後を展望することをねらいとする研究分野である。
 日本の障害児教育はいま、これまでにない変化を経験しつつある。国際的にはすでに、インクルージョン、あるいはインクルーシブ教育という用語が定着しつつある。

内容説明

障害児の教育の歴史について基本的な知識を得て、今後の障害児教育を展望するための学習書。通史は、外国編(第1部)と日本編(第2部)から構成されており、障害児教育を学ぼうとする学生が学習すべき基礎的教養である。また付録の年表は障害児教育史の全体的な理解に役立つことを意図し、第3部は日本における障害児教育史研究の到達点を整理したものである。内容の一つは、大半が若い研究者による意欲あふれたトピック的研究、もう一つは、公刊された博士論文の要旨を掲載している。

目次

第1部 障害児教育史―世界編(障害児教育の黎明―近代以前の障害者と障害児の教育;障害児教育の本格的始動―市民革命・産業革命期の障害児教育;公教育制度と障害児教育―帝国主義・ファシズム期の障害児教育 ほか)
第2部 障害児教育史―日本編(日本の障害児教育の黎明;戦前における障害児教育の成立・展開と変質;戦後「特殊教育」制度の整備と問題点 ほか)
第3部 障害児教育史研究の到達点と課題(地域障害児教育史;人物研究;現代的問題の歴史的理解 ほか)

著者等紹介

中村満紀男[ナカムラマキオ]
1945年生。1972年東京教育大学教育学研究科博士課程単位取得退学。教育学博士。国立特殊教育総合研究所研究員、秋田大学教育学部講師・助教授・教授を経て、現在、筑波大学心身障害学系教授。障害原理論、障害児教育

荒川智[アラカワサトシ]
1957年生。1988年筑波大学大学院博士課程教育学研究科修了。教育学博士。日本学術振興会特別研究員、神奈川県立衛生短期大学講師、茨城大学教育学部助教授を経て、現在、茨城大学教育学部障害児教育講座教授。障害児教育学、障害児教育史、特別ニーズ教育
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感想・レビュー

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Akihiro Nishio

17
大著であった。西洋と日本の障害児教育の歴史を概観できるような本はそうない。公教育がはじまる前の話や、重要な人物の評伝、少しだが南アジアの実態などにも言及している。盲と聾の教育はスタートするとすんなり進む印象だが、知的障害の教育ではいずれの国でも躓き、その後の停滞も同様であった。残念なのは英語圏の国に偏り過ぎていること、ドイツについては言及はあるが、ラテン語圏の国についての情報はほとんどない。おそらく専門家がいないのだろう。2016/07/29

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