クララは歩かなくてはいけないの?―少女小説にみる死と障害と治癒

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  • サイズ B6判/ページ数 325p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750317168
  • NDC分類 909
  • Cコード C0098

出版社内容情報

『ハイジ』や『若草物語』などの古典作品における障害や病、死の描写を検証することにより、障害が弱さや罪の象徴として使われていたこと、さらには少女たちに「従順さ」を学ばせるために、それらがメタファーとして利用されていたことを浮き彫りにする。

 謝 辞
 本書で取り上げた主な作品と作家
序 章
第一章 罰と憐れみ 障害、病、治癒のイメージとその提示
第二章 『ジェイン・エア』と『若草物語』の臨終場面 生きていくには善良すぎる
第三章 『すてきなケティ』スーザン・クーリッジ 申し分のないよい子になること
第四章 『ハイジ』のクララと『秘密の花園』のコリン 奇跡的治癒
第五章 『少女ポリアンナ』と『ポリアンナの青春』 障害、階級、ジェンダーの研究
第六章 『リバーハウスの虹』エセル・ターナー 混乱、挑戦、死
第七章 作家が次にしたこと 二十世紀後半の障害者の描写
結 論
 参考文献
 解 説 [荒井英子]

内容説明

今も読み継がれる名作に潜む、障害観、死生観とは?「克服する」ものとしての障害と、ある日おとずれる奇跡的な治癒。ヒロインたちの試練の下に隠された「理想の女性像」。

目次

第1章 罰と憐れみ―障害、病、治癒のイメージとその提示
第2章 『ジェイン・エア』と『若草物語』の臨終場面―生きていくには善良すぎる
第3章 『すてきなケティ』スーザン・クーリッジ―申し分のないよい子になること
第4章 『ハイジ』のクララと『秘密の花園』のコリン―奇跡的治癒
第5章 『少女ポリアンナ』と『ポリアンナの青春』―障害、階級、ジェンダーの研究
第6章 『リバーハウスの虹』エセル・ターナー―混乱、挑戦、死
第7章 作家が次にしたこと―二十世紀後半の障害者の描写

著者等紹介

キース,ロイス[キース,ロイス][Keith,Lois]
作家、大学講師。障害者の権利のための活動をしている。編著にMustn’t Grumble:Writing by Disabled Women(The Women’s Press,1994(1994年度のMIND最優秀図書賞を受賞))、著書に十代向けの小説A Different Life(The Women’s Press,1997(1998年のブックトラスト・ベスト100に入選))、子ども向けのThink About People Who Use Wheelchairs(『車いすの人たち』2000年、小峰書店、茂木俊彦監訳、京兼玲子訳(1999年のNASEN特殊教育賞の最終選抜候補))。このほか2003年春に大人向けの小説Out of Place(Crocus Books)を発表。2002年には日本のNHK他が主催した「第2回世界ハート展」のロンドン展で詩の選考委員を務めた。現在、夫と2人の娘とともにロンドンで暮らしている

藤田真利子[フジタマリコ]
英仏翻訳家。東北大学仏文科卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シルク

10
2019年シルク的トップ10の1冊。まだ11月だけど、トップ10入り確実。……かつてイギリスの家庭小説において、「家庭の天使」ちゅーもんが描かれていた。それはひとつの、理想の女性像。小説の中で、家庭というものは、人夫々の心のオアシスとしてまず描かれた。一歩家から出ると、そこは弱肉強食、騙し合い、蹴落とし合いの世界。外の世界で闘い、傷つき消耗したひとびとは、「避難所」としての家庭に帰って行く。家庭――そこは、温かな感情と絆とでしっかりと結び合わされた、家族というメンバーが集う空間。心癒される浄化の場所。→2019/09/25

ぽけっとももんが

9
そもそも考えてみればずっと歩いていなかったクララが歩けるはずはないのだ。座ったままの脚には筋力が備わっていないのだから。説明的ながら「?」と疑問を抱かせるには充分なこの邦訳の勝利。でも想像していた以上に真剣に少女文学の中に書かれる障害や病気を論じている。病も障害も、気力で克服できるか、または前世の因縁やいわゆるバチが当たった系だったりしたなぁそういえば。キリスト教的な教訓が、19世紀のコドモ向きの本には求められていたのだろう。なるほど、今この手の「名作物語」が廃れてしまっているのは当然なのだなぁ。2016/11/21

あんすこむたん

3
タイトルにも重要な意味がある。身体的な障害がどのように都合よく使われたのか。そもそも由来はどこにあるか。など、なるほど思える部分も多い。具体例も豊富で、それらの物語を知っていればより深い理解ができるように思える。2017/02/09

蒼1228

3
児童文学の中で、障害は快癒して健康になるか、それともそのまま死ぬかのどちらかでしか描かれてこなかった、という指摘が重い。2008/02/14

Mana

2
メインテーマは表題の通り。文学作品において障害は治癒するものとして描かれること、また現実的でない治癒の仕方をすることについて具体的に作品を取り上げながら解説している。メインテーマは面白いけどちょっと話が長い。2015/08/20

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