出版社内容情報
マイノリティに対する差別的構造が背景となって,「非識字者の子どもは非識字者」という,最悪のサイクルが出来上がってしまったアメリカ。教育の機会均等・平等という立場でその解決の道をさぐる。
第1部 目に見えないマイノリティ―読み書き不能のアメリカの危機増大
第2部 読み書きのできないアメリカを動かすために
第3部 実用を越えて
目次
第1部 目に見えないマイノリティ―読み書き不能のアメリカの危機増大(こんな字が読めないのか、は国民の三分の一;言い逃れと数字ゲーム ほか)
第2部 読み書きのできないアメリカを動かすために(無力感という神話―何をなすべきか;火種起こし―読み書きのできないアメリカを立ち上がらせる計画 ほか)
第3部 実用を越えて(テクノロジー憑依;大学の責務 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまやま
6
ハーバード大卒の裕福な家庭の子息であった著者は、1964年にボストンの公立小学校の教員となったことを契機に、黒人社会と深く接するようになる。字が読めないことは、子どもたちより大人にとって深刻な課題であり、例えば軍隊において銃砲の取り扱いが読めないと死に至るので、米軍の強制教育などの話題もある。著者はそのような教育に苛烈に批判を浴びせる。識字はコミュニティの再構築であり、できるならば非識字の親と学齢前の幼児の教育をつないで、サイクルを正にする希望を述べる。教員の待遇の話は、現在の日本でも共感できる。2019/06/24