内容説明
『古事記』はどのように読まれてきたのか。江戸時代の本居宣長からさかのぼり、中世の吉田兼倶・度会家行、平安初期の多人長まで。1300年の時空を超え、新たな神話へと変貌するダイナミックな歴史を読み解く。
目次
プロローグ 『古事記伝』から『古事記』編纂一三〇〇年の深層へ
1 本居宣長とはだれか
2 『古事記伝』と近世神話
3 伊勢神宮で読む『古事記』
4 「日本紀の家」の人びと
5 平安期の「日本紀講」と『古事記』起源の神話
エピローグ 二十一世紀の『古事記』へ
著者等紹介
斎藤英喜[サイトウヒデキ]
1955年東京都に生まれる。1990年日本大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、佛教大学歴史学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
8
図書館にて。著者の専門は宗教文化論・神話伝承学で、いざなぎ流の本や安倍晴明・折口信夫の評伝を書いている。丸山眞男や小林秀雄の宣長批判は的外れではないものの、眞男の憂鬱は宣長から発するものではありえない。著者は『古事記伝』を中世神話の流れに位置づける。子安宣邦の宣長論それ自体はちとポストモダンな帝国主義批判すぎるが、中世神話が宋代の禅宗から照らされた記紀世界であり、古事記伝が近世西洋から照らされた記紀であるように、子安の記紀の読みは現代のグローバリズム世界に応じた記紀の新たな神話とみなしうるだろう2021/08/05
よっし~
7
「記紀万葉」と呼ばれ最古級の国書といわれる「古事記」。しかし現存する最古の写本が十五世紀のものであること等から偽書扱いも受け、平安時代にはほとんど言及がなく、脚光を浴びたのは本居宣長の『古事記伝』以後である。師・賀茂真淵から「万葉集は私が読み解いたが、私には時間がない。君は古事記を研究してくれ」と託された本居宣長。山崎闇斎の垂加神道、吉田兼倶の吉田神道、度会家行が大成した伊勢神道とともに変遷をたどった古事記研究を、宣長は西洋的視点から近代神話へと再構築した――著者のスリリングな知的考察が光る一作。2020/04/12
kaizen@名古屋de朝活読書会
4
本居宣長の古事記解釈の特徴を記述している。 日本書紀との関係にも触れ,釋日本紀を紹介している。 吉田兼倶,伊勢神宮など利害関係者の話題もある。2012/12/10
takao
1
ふむ2019/12/31
aoko
1
神話が時代によって読み替えられていく過程がおもしろかった。2014/05/31