内容説明
民族紛争を背景に登場したエスニシティ、女性が主体性を確立する歩みであるジェンダー。歴史学の周縁におかれてきたこれらの概念から、日本史を捉えなおす。アイヌ民族や蝶々夫人等を取り上げ、新たな歴史像を創造する。
目次
1 エスニシティ・国家・オリエンタリズム(日本図と他者―行基式“日本図”と「三韓」;日本列島・朝鮮半島の異民族―被虜朝鮮人・中国人と倭人;本多利明の国家論―徳川時代の経世論における“エスニシティ”の発見;エスニシティの針―十八・十九世紀のアイヌ民族;ハイブリッドとしての蝶々さん―D.パウントニー演出「マダム・バタフライ」における歴史を再構築する眼)
2 ジェンダー・主体・言説(日本中世における女の夢・男の夢;衣料生産とジェンダー―中世後期公家の場合;戦争と女性―中世後期大和の場合;「邪宗門一件」に見る男女の諸相;近世の農業労働とジェンダー;「徘風柳多留」のディスクール―ジェンダー・階級・身分)
3 セクシュアリティ・身体・心性(女のオンブ・男のオンブ―中世のセクシュアリティ;愛のゆくえ―伊達綱村の遺言を読む;明治維新と生殖倫理―日本近代の生殖観はいかに形成されたか)