内容説明
日本人の民俗文化を漂泊の生活、漂泊民のまなざしによってとらえかえしたら、いったい何が見えてくるか。それが本巻に収められた論文の共通テーマである。境界の内部にいるものが定住民であるとすれば、その境界をふみ破るものが異人たちであり、越境の旅を続けることで聖地巡礼が成立した。そういう漂泊民の根拠地が山や海にあったことが重要である。
目次
第1 漂泊と神観念(遁世・漂泊者の理解をめぐって;「熊谷家伝記」余話;神道的神と民俗的神;異神の像容)
第2 異人と境界(異人と村落共同体をめぐる物語;杖と境界のアルケオロジー;蓑笠と柿帷;田遊び論ノート)
第3 聖地と巡礼(岐阜県東濃地方の瞽女仲間;巡礼の構造;四国遍路への道;白山麓山村住民の神乞慣行〈予察〉)
第4 山と海の漂泊民(ヒヨウの生活を囲って;山窩の生活;漂泊漁民の伝承文芸;家船と糸満漁民)