目次
第1 村落の領域と境界(村の境;中世村落と領域構成;「ノラ」の語義変遷をめぐって―村の領域認識における中世と近世;ヤマとサトの民俗学;近世計画村落の空間構成について―古村改造の事例)
第2 村落秩序と家格・年齢(農村の身分階層制;近江の村落における長老制度の変質について;村落自検断禁令の近世的展開;近世の村組と村―近江蒲生郡中野村を中心に;村寄合における議決法)
第3 村落生活の日常と非日常(誓約の鐘―中世一揆史研究の前提として;近世農民の行動追跡調査―濃州西条村の奉公人;農民における情報と記録;話しことばと古文書;ハレとケガレの生活感覚―「天気」と「休み日」について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
5
歴史学・民俗学の新たな地平を開き・・とある通りソ連崩壊後の史学(講座派歴史学)立直しを図る企画として編まれた感はする。論文当時1954年の政治状況を「ますます不利となっている」と言ってのけた川島武宣論文を代表選手として掲載した意図は何なのだろうか。他の論文は「ノラ野良」の語義変遷や村落の自検断に見られる自治、寺請台帳を用いた歴史人口学の披瀝など興味深い記述に溢れている。歴史の動向をコミンテルン指導といかに同期させるかのみが使命だった帝大史学のミイラを歴史遺構に残置するための項立てだったのか実に不思議なのだ2020/06/14