内容説明
東北地方から沖縄諸島に展開する巫俗を精査し、地域社会ごとのシャマニズムの構造と機能とを明らかにする。口寄せ巫俗と死者儀礼や山中他界観との関連、仏教と巫俗との習合の問題を解明し、沖縄ではユタの巫儀を中心に霊魂観や葬墓制との関わりを追究。また、わが国民族信仰の原初的形態をえぐり出すことにつとめ、日本研究の基礎を固める。
目次
第1章 口寄せ巫俗の展開
第2章 民間巫俗の性格(巫女の口寄せと死者儀礼;埋葬前後の口寄せ)
第3章 民間社会の巫俗的機能(伊勢・志摩地方のミコ寄せ;口寄せミコの性格)
第4章 民間巫俗と死霊観(山中他界観の成立と巫女の役割;巫女の口寄せと死霊観;魂呼ばいと死霊観)
第5章 地蔵信仰とシャマニズム
第6章 伝統的巫俗の残存形態(平戸島巫俗の実況;穏れキリシタンとシャマニズム;北松浦郡大島村の残存巫俗)
第7章 召命巫の生態と入巫(沖縄のシャーマン;ユタの社会的役割;ユタの成巫過程)
第8章 巫俗の実修
第9章 死の儀礼と巫俗(ユタの関与する死者儀礼;葬墓制と巫俗)
第10章 巫俗と霊魂観―ヌジファ(抜霊巫俗)の問題