内容説明
『古事記』と『日本書紀』は、古代天皇制国家を母体として生まれた兄弟ともいうべき二書である。しかし両者はあまりにも異質である。なぜそうなっているのであるか。この疑問への解答を、『記・紀』両書の内容の克明な対比から検証しようとしたのが本書である。その結果は、旧来の見方とは異なる新たな『記・紀』観と知見を我々に提示するものであろう。
目次
1 『記・紀』関係の展望―平安朝の諸説と『記・紀』成立までの状況
2 『記・紀』関係の検証(『記・紀』比較上の留意点;神武「熊野廻行」記事;神武・后妃皇子女記事の比較;神武―開化、系融記事の検証;欽明・系譜記事の比較;敏達・系譜記事の比較;歌謡に現われた『記・紀』の性格)