内容説明
昭和二十一年、「現代かなづかい」が公布されるまで使われていた「歴史的仮名遣い」。それはどのように成立したのか。いろは歌から定家仮名遣い、近世の研究、明治政府の統一基準の作成まで、日本語表記の歴史をたどる。
目次
序 仮名遣いとは何か
1 仮名遣いはなぜ起ったか―いろは歌の成立とその展開
2 仮名遣いの説の始まり―定家仮名遣いの出現
3 中世における仮名遣い説の諸相―定家仮名遣いへの追随と批判
4 仮名遣いの説の大転換―契沖の仮名遣い説
5 歴史的仮名遣いの発展―契沖説の継承と考証の深まり
6 字音仮名遣いについての研究―漢字音研究の仮名遣い説への導入
7 明治時代以後の仮名遣い―歴史的仮名遣いの飛躍的普及
著者等紹介
築島裕[ツキシマヒロシ]
1925年東京世田谷に生まれる。1952年東京大学文学部大学院満期退学。中央大学助教授、東京大学助教授・教授、中央大学教授を歴任。1964年日本学士院賞受賞。1996年日本学士院会員。2011年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
44
歴史的仮名遣いは藤原定家に始まるが、アクセントを区別するためのものだったようだ。その後、契沖が定家の仮名遣いを批判して、漢文や仏典にも適用する仮名遣いを提示し、さらに明治時代に教科書や辞書に歴史的仮名遣いを使用するようになり、急速に普及した。現代仮名遣いは不合理な点があると思っていたが、歴史的仮名遣いにもかなり「表記ゆれ」があり、特に漢語の仮名遣いについては研究途上だというのは意外だった。本書は歴史的仮名遣いの成立史を述べているので、あるべき姿については別の本を読む必要がある。2021/06/22
Koning
21
なんとなく読んだ気がするなーと思いつつ最後の解説を読んで中公新書で出てた本の復刊と分かって読んでたのかorzと思う。が、すっかり忘れてるので無問題(え。歴史的仮名遣いとこんにち呼び習わされる仮名遣いがどう定まったか?を定家、契沖を中心に字音仮名遣いと明治以後と分けて解説。最後の歴史的仮名遣いの要点は確かに日常的に使おうという人向けのQuickDirtyGuide的な感じでこの要点は抑えておくといいかもしれん(何。と思ったり2014/03/10
はづきち
8
やっと読み終わった…。歴史的仮名遣いについての本を読むのは初めてで、全く知識がない状態で読んだから、ちょっと読みづらかったです。でも定家と契沖の仮名遣いが重要だということはわかりました。巻末のまとめは役に立ちそうですね。2015/05/25
MrO
4
もはや、気にも留めずに「仮名遣い」の規則の歴史をおった本。読みながら、小学生のころ、なんで「わたしわ」「わたしお」ではいけないんだろうとか、「王様」が「おおさま」なのか「おうさま」なのか分からなかった記憶が蘇ってきた。「おーさま」でいいじゃんと思ったが、そうした素朴な疑問に答えてくれる本。結論は、錚々たる人たちも間違えていたんじゃんという、ちょっと安心するものだが、漢字変換システムで「正しく」書くしかない現状が、ちょっと寂しくも覚えた。「仮名遣い」が、完成しているシステムではないことは、忘れてはいけない歴2014/04/02
鰐雨
3
歴史的仮名遣いとは、つまり奈良~平安初期の発音表記である。誕生当初の仮名は、発音そのままを仮名に置換えて書いていたものであった。時代を経るにつれ「を」や「お」の発音の区別がなくなってくると、仮名で書き記すときにどちらでも好きな方が勝手に使われるようになる。これは日本語の乱れだ! ということで、歌道の大家が正しい字を使おうじゃないか。と言って回ったのがそもそもの始まり。だが、あまり広まらなかった。江戸時代に今度は契冲という学者が同じことを言い出した。これは人気を博し、明治からの学校教育に使われるようになる。2016/06/30