内容説明
戦国乱世を平らげ、近世への扉を開いた信長・秀吉・家康ら「天下人」の時代を、政治の動きを中心に描く。惣無事令の否定、徳川家の代替わりなど、発見された新事実を交え、東アジア情勢も絡めつつ活写。近世の始まりに迫る。
目次
近世の政治を描く―プロローグ
1 戦国乱世から天下一統へ
2 天下人秀吉
3 秀吉の「唐入り」
4 徳川の天下
5 徳川の政権継承
天下人の条件―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
5
日本近世の政治史シリーズの第1巻で織田信長から徳川秀忠の死までが対象。右大臣・関白・将軍といった官職ではなく、権限掌握の実態を重視する「天下人」論がテーマとなっています。基本的には時系列で流れを追っていくスタイルながら、途中、藤木さんの「惣無事令」論への批判のところだけはにわかに文章の空気が変わり、著者の意気込みが感じられました。2018/07/13
陽香
2
201110102017/01/15
奇天
2
信長、秀吉、家康、忠秀という四代の天下人を政治史の面から描いている。歴史学の新たな研究成果等を織り込んだものではあるが、通史を描くのに精いっぱいでそうした切り口が目立たなかったのはとても残念。細部をメインとするなら一人一冊くらいの密度が欲しい。「天下人」というテーマを中心とするならば、通史の部分をもう少し削ってもよかったかもしれない。2012/02/11
wang
1
天下統一に向かう室町末から江戸初期まで。織田信長については時系列に出来事を羅列しただけの無内容。豊臣秀吉については家康との関係や、惣無事令、公家との関わりかた、唐入りについて詳述。家康は特に禁教・外交政策について詳しい。秀忠は和子入内に関連する天皇との交渉に重きを置く。徳川二代ではさらに転封や朱印状により大名に対する支配の変遷にも注目している。4人が天下人としてどのように行動したのかを重視してそれ以外は省かれているのが特徴。2020/02/18
Taro.H
1
通史を天下人の条件という視点から語るというスタンスなのだが、紙幅の関係から、通史を語るのでいっぱいいっぱいになってしまっている感があり、通史を削ってもよかったのではないかという気もする。特に、天下人の条件および、その依って立つ正統性といった点に着目された部分については大変面白かったので、いっそう勿体ないという印象。とはいえ、あとがきによれば、著者は「天皇と天下人」という本を書かれているそうなので、そちらにそう言った内容が書かれているのかもしれないので、合わせて読んでみたい。いずれにせよ、面白く読める一冊。2012/10/27