内容説明
列島全体が巨大な前方後円墳造りに熱中した時代、人々はいかに暮らしたか。東国の中心だった上毛野地域を軸に、王権の動向と併せて描く。集落・耕地・手工業などの視点で社会システムに迫り、地方から古墳時代を展望。
目次
古墳から古墳時代社会へ―プロローグ
古墳時代のムラをあるく(姿をあらわした五・六世紀のムラ;集落での暮らしぶり;黒井峯遺跡をとりまく社会)
地域開発と渡来人(古墳時代の渡来人と渡来文物;上毛野の渡来人たち;渡来人が果たした役割;地方豪族の対外活動と渡来人)
首長による地域経営と農業政策(経営拠点としての首長居館;首長の地域開発;水田経営と用水権;手工業を興す首長)
モニュメントとしての前方後円墳(前方後円墳の実像;人物埴輪は語る;前方後円墳にみる共立と小地域経営)
古墳時代首長の資質―エピローグ
著者等紹介
若狭徹[ワカサトオル]
1962年、長野県に生まれ、群馬県で育つ。1985年、明治大学文学部史学地理学科卒業。現在、高崎市教育委員会文化財保護課課長補佐、博士(史学)、浜田青陵賞・藤森栄一賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ウォーカージョン
4
面白かった。ちょうど興味のあった毛野。火山噴火で封印されたムラ。そこから当時の様子がかなり詳しく再現された。そして、東海地方からの入植とその後の発展などいろいろ勉強になった。前方後方墳から前方後円墳への転換にどんな意味があったのか知りたかったのだが、そこは残念。御諸別王はこの流れの中に関係していたのだろうか、それともただの伝説なのか知りたい。2016/09/15
arere
2
古代は近畿地方が花形。そこから遠く離れた群馬県をフィールドに、榛名山の噴火によって密閉された地中から出てくる新発見の数々。まだまだこの地域には、発掘されていない古代のロマンが詰まっていることがよくわかる。古代の群馬、ラブ。
Shogo Iida
2
最新の研究成果に基づく東国(主に上野)の古墳研究。一県の古墳研究の成果を纏めることで、翻って全国の古墳の現状が比較的に理解できる良著。特に古墳だけでなく三ツ寺Ⅰ号遺跡に見られるように、首長邸宅と古墳の繋がりにおいて当時の地方領主を理解するという、面的な把握方法が面白い。今後、地表に出ている古墳に、地下の遺跡か複合されることでさまざまな研究が進んでいくのだろう。2015/06/04
遊動する旧石器人
2
榛名山の火山灰に埋もれた「上毛野」の地域の古墳時代を舞台にした、若狭徹さんの著書。榛名山の噴火による火山灰(FAとFP)によって埋没した遺跡が榛名山南麓に広がる。古墳時代の代表的な首長居館跡である三ツ寺Ⅰ遺跡などの遺跡や、保渡田古墳群をはじめ古墳も分布する。榛名山南麓は、三ツ寺Ⅰ遺跡を要する井野川水系と北谷(きたやつ)遺跡(首長居館跡)を要する車川水系の2つの集団に分けることが出来る。水利によって首長が地域経営を行っていたことを筆者は推定する。全国の中でも古墳が多い上毛野地域。火山灰に埋もれた遺跡は語る。2015/02/09
takao
1
ふむ2021/12/14