出版社内容情報
日米開戦から半年後、アメリカ本土に二〇紙以上あった日本語新聞は、わずか三紙に激減した。言論・報道の「自由の国」で何が起こったのか。さらに、強制収容された日系人は施設でどのような新聞を発行し、アメリカ政府はそれらをいか
内容説明
日米開戦後、アメリカの日本語新聞は激減した。言論・報道の「自由の国」で何が起こったのか。日系人収容施設で発行された新聞の実態に迫り、日系人ジャーナリズムへの報道統制から、戦時民主主義下の「自由」を考える。
目次
第二次大戦下の日系アメリカ人と報道統制―プロローグ
アメリカへわたった日本人と排斥運動(アメリカへわたった日本人;激しい差別と日本人移民の途絶)
アメリカの日本語新聞(日系人ジャーナリズムの誕生と発展;日米開戦前夜の日本語新聞)
日米開戦と強制立ち退き(日米開戦の衝撃と直後の報道統制;日本語新聞の利用と「自己規制」;政府と日本語新聞の不均衡な相互依存関係;政府内の意見対立とその結末;立ち退きによる最終的な発行停止)
キャンプへの収容(二種類の収容施設(キャンプ)
集合所の管理当局
集合所における報道規制
転住所の管理当局
転住所における報道統制)
「自由の国」の報道統制―エピローグ
著者等紹介
水野剛也[ミズノタケヤ]
1970年、東京に生まれる。2000年、ミズーリ州立大学スクール・オブ・ジャーナリズム博士課程修了。現在、東洋大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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東隆斎洒落
6
14.8.4◆報道の「自由」を掲げ、「民主主義を守る」ことを大義に日米開戦に臨んだアメリカ。日系人を収容し、日本語新聞を直ぐに弾圧しない見返りに、自発的な親米報道を促す。◆「自由の国」という体面を維持しつつ、日系ジャーナリズムを実質的に報道統制する戦略は、見事である反面、難解な日本語と次に何をする想定できない日系人への畏れが、見え隠れする。◆「不自由」な戦時民主主義下の、「自由」について考えさせられる一冊。2014/08/04
Kawashima Kenta
0
自由を国是とする国での統制の話。国益と報道の自由は両立しうるのか、ましてやその自由が「敵国人」のものあったら?大戦下から今日にも問いを投げかける。統制と自由、双方に一理ありと考えられているうちは良いとして、最近一方がやたら信頼を失っているような…。2014/09/20