内容説明
十五世紀半ば、突如として日朝通交の舞台に登場した偽の外交使節たち。果たして彼らは何者か、そしてその目的とは?多種多様な「偽使」の実態に迫り、国境海域のたくましい倭人たちを描く、新しい中世日朝関係史。
目次
中世のたくましい倭人たち―プロローグ
偽使の登場
室町幕府の朝鮮外交
文化交流と偽使問題
日朝牙符制のくびき
偽使問題から世界史へ―エピローグ
著者等紹介
橋本雄[ハシモトユウ]
1972年、東京都に生まれる。2000年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学、日本学術振興会特別研究員(PD)採用。2004年、博士(文学)学位取得。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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邑尾端子
7
国家間の公式の朝鮮外交がほぼ潰えた室町後期、朝鮮には室町幕府重鎮の使者を名乗る偽使が当時の日本から押し寄せていた。これらの偽使は一体誰がなんの目的で作ったのか。本書は、一連の偽使が対馬の宗氏による組織的創設によるものであったとする説をとりつつ、その先駆けとして博多の商人や寺社勢力との関連も示唆する。それにしても、明らかに偽者と分かりつつ応対し続ける朝鮮側も、バレバレだと自覚しつつ堂々と送りつづける日本側も実にしたたかで逞しい。さすが中世人。2014/10/21
MUNEKAZ
6
室町時代に日本から朝鮮に送られた「偽使」を紹介した一冊。幕府の要人の名を騙り(あるいは捏造し)、対馬宗氏や博多商人、五山僧たちの協同で仕立てられた偽の使節たちと、それに乗っかる幕府の対応、そして偽使を抗しきれない朝鮮側と現代の外交感覚からすると滅茶無茶な世界が繰り広げられている。またその背後にある幕府の朝鮮観や、朝鮮からの贈り物(具体的には大蔵経)は実際儲かったのかなど面白い話が多い。しかしその後の朝鮮出兵や柳川一件と併せてみても、対馬宗氏というのは難儀な立ち位置の一族だなと思わされる。2019/09/18
陽香
3
201209012017/06/04
アメヲトコ
2
室町時代、朝鮮に渡ってきた、自称・幕府要人の使者たちの物語。さまざまな勢力の思惑が入り乱れるあやしげな世界が面白いです。もっとも論証も著者の推測が先走っている感じで若干あやしげではありますが、今後の展開が楽しみなテーマです。2015/04/19
たぬき
2
ニュアンス大事2012/11/14