内容説明
武具の下剋上―。古代より続いた弓射騎兵から、南北朝期の打物(刀剣類)騎兵の登場を経て、戦国期の歩兵主体のいくさへ。合戦の大転換はなぜ起こったか。『平家物語』『太平記』や絵画史料から、中世合戦の真実に迫る。
目次
中世前期の騎兵と歩兵(中世前期戦闘考察の史料;『今昔物語集』の戦闘;『平家物語』の戦闘)
古代の騎兵と歩兵(弓射騎兵の伝統;律令制下の騎兵と歩兵(律令の解釈から;『続日本紀』の解釈から))
中世後期の騎兵と歩兵(中世後期戦闘考察の史料;『太平記』の打物戦;『太平記』の弓箭戦;『太平記』の組討戦;室町期以降への見通し)
著者等紹介
近藤好和[コンドウヨシカズ]
1957年、神奈川県に生まれる。1987年、国学院大学大学院文学研究科博士課程後期日本史学専攻単位取得。2002年、文学博士。駒沢大学文学部非常勤講師
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感想・レビュー
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よしあ
3
戦仕立てに時代時代の価値観というか、流行があるのだな。イメージとして絵になるのは、平家物語には弓の名手、時代が下ると力任せの太刀さばき…のような。カラーの画像か図解が欲しいが、基本的な知識がある人は必要ないのであろう。自分には難しかった。2022/12/03
てら
2
「日本古代・中世には軽装騎兵・重装歩兵がいない」、「古代から中世前期は弓射がメイン」「一騎討ちは特殊例だけど、その時代の特性が良く表れる」などなど、目からウロコだらけの一冊でした。あとがきで著者の意外すぎる別の顔を知ることができたのも含めて、エキサイティングな読書でした。ありがとうございます。2022/07/10
いきもの
2
なかなか面白かった。中世における騎兵と歩兵の武器の変遷を追った本。律令下で形成されていった弓射騎兵中心であった戦闘から打物騎兵、弓射歩兵中心へと南北朝時代へ変遷。そして打物歩兵と同じ武器を集団の役割分担による組織戦への戦国時代に向けての変遷も少し触れられている。原因については防御城郭の発展や悪党の登場に触れられているものの、もう少し変遷の原因を追って欲しかったところでもある。2015/02/01
でん
2
中世の騎兵や歩兵について、軍隊としての用兵や戦略ではなく兵士個人のスタイル、戦闘方の変遷について研究した本。社会史っぽい2013/12/19
mach0.9
2
過去にも近藤氏の書籍は読んでおり、期待なりであった。古代律令と中世初期への変化を軍制から解き、さらに軍記物から中世後期への変化を語っている。中世の戦闘の様相は良くわからないのだが、それを前後から繋ぐ糸を探って見せたと思える。2013/03/26