内容説明
一見不正確な描写に、必要な情報がふんだんに盛り込まれ、大名屋敷や寺社を尋ねる当時必須の手引=江戸切絵図。多くの需要と熾烈な出板競争の中、知恵と技術を尽し、究極の江戸図が追求され続けた歴史の舞台裏に迫る。
目次
江戸図の入口
切絵図の世界
ロングセラー七〇年
大絵図の世界
見取り図と回顧地図
総括してなお残ること
著者等紹介
俵元昭[タワラモトアキ]
1929年、島根県に生まれる。1956年、慶応義塾大学文学部史学科卒業。現在、東京都港区文化財保護審議会委員、東京地縁社会史研究所所長、記録作家
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感想・レビュー
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アメヲトコ
9
大著『江戸図の歴史』をものした一人である著者が、幕末の切絵図からしだいに時代を遡り、「江戸図の祖」寛文五枚図や手描大絵図、寛永図群、御府内沿革図書などまで、多様な絵図の系譜を紹介したもの。刊行は2003年で、その後の研究の進展をふまえると情報としてはやや古さを感じますが、「もの」としての図の特質を熟知した著者ならではの視点は、今読んでもいくつか新鮮な発見をもたらしてくれます。2020/01/28
chang_ume
7
「切絵図」の誕生と前史に焦点を当てながら、多方面に「江戸図」への豊富なうんちくが展開される内容。ただ独特の言い回しと図版の少なさでちょっと読みにくい。カラフルな尾張屋版の切絵図発刊が嘉永3(1850)年、さらに江戸市街地の公的境界を定めた「朱引図」が文政元(1818)年と、「大江戸」の通俗イメージに寄与した地図史料の登場は意外と遅く、超歴史的な認識が改まった。また家康入府前を描く諸図への史料批判も参考になる。総じて、江戸と京都の都市図を比べると、事情がかなり違うのかなと思った(林吉永も少し出てきます)。2020/09/10
マカロニ マカロン
0
個人的評価B-。江戸土産として地図が人気で50-60万枚も発行されたとあり、驚いた。 江戸時代に入り世の中が平和になったため、「都市が人生享受の場となり、都市の地理情報の必要性が肥大化」して、巨大な地図が作られるようになった。寛文五枚図は1.6平米四方もある大きさ五枚で江戸を網羅した。方位や縮尺はかなり正確な測量を基に作られたそうです。新書サイズのため、本の中の地図の写真が良く見えず、地図を視覚的に見る 楽しみは得られません。 2011/11/23
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- 和書
- 喋々喃々