内容説明
「関東は戎夷なり」といわれた東国へ、果敢に身を投じた上流貴族北畠親房。彼は東国に何をもたらしたか。結城・宇都宮など有力豪族の動向や、鎌倉府などの成立過程を辿り、親房と東国武士にとっての南北朝動乱を探る。
目次
天下時勢粧―プロローグ
貴種の下向(東国とは;建武政権と東国・奥羽;奥州小幕府)
東国の覇権をめぐって(鎌倉府攻勢へ;若御前鎌倉へ;東国の南朝;親房の思想)
退勢挽回にかける(虚構の中の親房;吉野と親房;東国武士と常陸合戦)
東国の国人(国人と国人一揆;生き残りをかけて;その後の東国と奥羽)
北畠親房と東国武士―エピローグ
著者等紹介
伊藤喜良[イトウキヨシ]
1944年長野県に生まれる。1974年東北大学文学研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、福島大学行政社会学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吃逆堂
3
『北畠親房の挑戦と挫折』とかいう題ならともかく、この題でこの内容では到底納得しかねる。一揆を強調しながら、一揆構成員の個々の具体的な姿も一揆の社会全体における位置付けもない。 が、203ページだけはよかった。2012/04/19
MUNEKAZ
2
面白い内容の本だったけれども、このタイトルはちょっと大きくしすぎでは。副題を持ってくれば内容とよくマッチしたとおもう。北畠親房の考え方というかモノの見方が端的に知れたのは良かった。幕府政治を否定せず、地方分権的な政治を志すあたり、目指していたモノは足利側とそんなに違いがないのではないかと思った。2016/04/09
でん
2
「商人の所存」。自らの属する南朝の後醍醐帝の政治に批判を加え、独自の政治構造を東国に確立しようとした北畠親房の先見性を以てしても、時代の急激な転換には追い付けなかった。旧来の価値観の拡大ではなく、完全な新しい価値観の求められた時代だったのだろうと思う。2013/12/21
ohmi_jin
1
副題が本題にふさわしい本。北畠親房はよく頑張ったとは思うものの、とはいえ、武士を徹底的に下に見る姿勢ではどうしようもなかっただろう。2018/11/10
9rikaz00
1
北畠親房と結城宗広関連。高師冬と石塔義房も2011/11/18