内容説明
今や国民的行事と化した高校野球大会。全国を興奮のるつぼに引き込む汗と涙と感動のドラマ、その始まりには新聞社の社運を賭けた拡張競争があった。80年に及ぶその歴史をたどり、日本独特の野球観の形成を考える。
目次
原型としての一高野球
野球の普及拡大と「害毒」論争
全国優勝野球大会の形成
大衆娯楽としての甲子園野球
甲子園野球の過熱と野球統制令
エピローグ 甲子園野球の復活
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
19
武士道としての野球であり原型は一高野球ということが印象に残りました。2024/05/26
白義
14
日本に「野球」という言葉が誕生して以降、野球というスポーツはそれが養う精神性とともに語られてきた。一高生による普及のための論法として、また大衆化して行くにつれて野球を推進する建前として。本書はその建前としての「精神野球」の歴史を辿りながら、新聞メディアの拡大、娯楽イベントとしての甲子園野球の確立、そして集団主義や自己犠牲精神を旨とする日本野球の精神が、いかに国家のイデオロギーとして確立されたかを明らかにした近代野球史。娯楽としての野球を否定して、修養としての野球を勧める当時のテキストの狂信性には驚かされる2018/04/08
やまだてつひと
3
ベースボールが如何に日本独自の「野球」として根付いたのかについて「甲子園野球」を元に浮かび上がらせる本。 「メディアイベント」という視点や、「武士道」としての「精神修養」としての視点が特に面白く、 令和の時代「昭和」と揶揄される精神的な規範の元になったのは、昭和の野球ではなく、エリートが修養として精神修行を行った「一高精神」だったというのが特に印象に残る。 2024/05/08
ココアにんにく
0
19980715読了 図書館借