内容説明
豊臣秀吉の天下統一を授けたものに僧侶安国寺恵瓊があることを知る人は少ない。東福寺の住持で一方位予六万石の大名になった幅の広い人生を持ち、毛利氏の外交僧として敏腕を揮い、転換期を泳ぎながら、ついに関ケ原の役に石田三成・小西行長らとともに西軍の主謀者として処刑される波瀾の一生を、確実な史料によりその全貌を描く。
目次
恵瓊のおいたち
毛利氏の外交僧
天下一統の情熱
豊臣政権と恵瓊
隆景・広家と慶瓊
東福寺の住持
諸建築の経営
関ケ原の役―恵瓊の最期
略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
23
○毛利氏の中枢に食い込み、秀吉との折衝て輝いていた故に関ヶ原においては理論より感情になってしまったと感じました。関ヶ原の戦場での非活発な行動の背景への類推が憐れさを誘いました。恵瓊のことがコンパクトにまとめられている一冊であり良かったです。2023/04/25
うえ
5
和平交渉や味方の合意取りまとめのプロフェッショナルとしての恵瓊。「毛利側の後世の記録では、みな高松城下の講和は秀吉方からもち出されたように記されているが、当時から僅か一・二年後に書かれた秀吉や恵瓊の書状によると、どうもこの和平は毛利側からもち出されたのが真実のようだ」「輝元を大阪まで引き出し西軍の盟主につけたことは、形のうえでは恵瓊の計画が一応成功したようにみえる。しかし広家を説得できなかったため、こののち毛利氏内部には恵瓊派と広家派とが対立し、輝元は大阪にくぎづけになり動きがとれなくなった」2016/12/05
代理
2
安国寺与力衆についての記述がもっと欲しかった。しかしすごい人生。名著。2012/11/11
Masahiro Ichikawa
1
僧としても優れている。読んで良かった。2017/03/18
りんふぁ
1
大河ドラマで興味を持ち読んでみた。ドラマでは僧っぽくないという印象があったが、いやはや、僧としてもしっかり務めていながら、国の外交も務めていたとは。器が大きく、僧ではなく武士だったら…と思ってしまった。2014/07/04