感想・レビュー
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miyuki
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7月30日より。日本文学史上ほぼ最初の文学者と言える紀貫之を、歌人としての面だけでなく、人物の面から捉えようとした本である。貫之だけでなく、古今歌壇や前後の動きについても詳しい。やはり歌人として有名であるから、和歌が中心にはなるのだけれども、国文学者ではなく史学者と名乗る著者によって記されているのはおもしろい。史学者でありながら、むしろ国文学者よりも文学のテキストそのものに注目しているところもあっておもしろかった。貫之はやはり詩情ある歌人であるから、彼の分析は王朝和歌と抒情の研究に大きく役立つと思われる。2015/08/06