内容説明
熊本大学に寄託されている、熊本藩細川家に伝来した四万三〇〇〇点以上の永青文庫資料。特殊な「藩侯の史資料」と、膨大な「藩庁の史料」を、ともに伝存させたという特色を持つ史資料群を、細川家伝来の信長文書、和漢書の蔵書構成などのテーマを立てて、歴史学と文学の両分野から総合的に分析。近世の国制上の基本単位である、大名家の実像を探る。
目次
序説 熊本大学寄託永青文庫細川家史資料の構成と歴史的位置
和泉上守護細川家ゆかりの文化財と肥後細川家の系譜認識
細川家伝来の織田信長発給文書―細川藤孝と明智光秀
十九世紀の宿場町を拠点とする地域運営システム―熊本藩の藩庁文書、「覚帳」・「町在」をもとに
永青文庫蔵熊本大学寄託和漢書の蔵書構成
細川幽斎の蔵書形成について
細川重賢の蔵書と学問―漢文資料をめぐって
著者等紹介
森正人[モリマサト]
1948年鹿児島県に生まれる。1976年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。現在、熊本大学大学院社会文化科学研究科教授・文学部附属永青文庫研究センター兼務
稲葉継陽[イナバツグハル]
1967年栃木県に生まれる。1996年立教大学大学院文学研究科後期課程退学。現在、熊本大学文学部附属永青文庫研究センター教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なつきネコ
8
細川家の学問の家という感覚を強く持っていたのがよくわかる。細川幽斎が源氏物語や、徒然草を残すのに尽力していたのは驚いた。戦乱の世の中で数々の蔵書が焼けたのを見た幽斎が書を写した動機。重賢の蔵書量も増やしていく。このあたりは流石、学問の細川家と感心する。そのほかにも藩内のタバコ産業をどう成り立たせるかと記録は江戸期の大名の産業開発の考え方が見えて興味深い。しかし、細川忠興と言い、黒田長政と言い二世大名は父を超えたと理由付がしたいんだな。そのせいで、いまいち細川家の家系がよくわからなくなったのに。2020/07/01