出版社内容情報
落合 恵美子[オチアイ エミコ]
著・文・その他
内容説明
初版から四半世紀。「家族の戦後体制」のその後を描く2つの章を新たに書き下ろし!
目次
プロローグ 二〇世紀家族からの出発
女は昔から主婦だったか
家事と主婦の誕生
二人っ子革命
核家族化の真相
家族の戦後体制
ウーマンリブと家族解体
ニューファミリーの思秋期
親はだめになったか
双系化と家のゆくえ
個人を単位とする社会へ
家族の戦後体制は終わったか
二〇世紀システムを超えて
エピローグ 二十一世紀家族へ
著者等紹介
落合恵美子[オチアイエミコ]
1958年東京生まれ。1980年東京大学文学部卒業。1987年東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。兵庫県家庭問題研究所主任研究員、同志社女子大学専任講師、「人口史と社会構造史研究のためのケンブリッジ・グループ」客員研究員、国際日本文化研究センター助教授、京都大学文学研究科助教授を経て、京都大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅー
3
★★★「家族の戦後体制」とは、①女性の主婦化②再生産平等主義③人口学的移行期世代が担い手、の三点を特徴とする。特に最後の担い手だった世代が曲者だ。戦後の一時期だけに現れた特殊な家族像を、あたかも普遍的で回帰すべき規範のように捉えている。その姿勢が、今の時代に合った家族像への転換を阻み続けてきた。高度経済成長期を理想とした仕事像(過労死モデル?)を維持し続けるのと同じだよね。教科書のような体裁だけど読みやすい。なぜなら、よく出口治明さんが言うようにタテ(歴史)とヨコ(各国比較)を見て数字で考えているからだ。2021/09/20
カモメ
2
戦後日本はきょうたいが多かった為子育てを協力していた、核家族も実数は変わっていないという指摘が興味深い。家事が誕生したのは公と私が分離した事によるものというのはなるほどと思った。カップル単位社会では男性が単位の代表とされるので性別役割分業批判にとどまらず家族単位視点を否定しなくてはいけないというのは的を射ている。介護保険は家族ではなく本人に支払われるべきというのも納得。変わっているようで変わらない日本。1985年の中曽根政権での新自由主義政策とその時代の日本の有利さとは何だったのか掘り下げたいと思った。2021/01/26
かとたか
1
所与のようにすら思えていた、家族、主婦、子供といった概念。それが戦後に作られたものであると言うことを示した上で、その変化について論じている。日本社会の構造を読み解く上で必読の一冊。2021/08/12
numainu
0
評価B2023/04/28
jackbdc
0
読みやすく、分りやすい。私はジェンダー論に少々苦手意識があったが、本書の内容を自然に受け容れることができた。家族を論じるにあたり、女性の視点が特に重要であることに異論はない。特に20世紀家族において男性との相対化が不可欠であったのだろう。女性の視点に特化することで、見えにくくなっている部分があると感じた。今後、21世紀家族という構えをとるならば、他の家族内の構成員であるこどもや男性の視点を加えて複眼的に考察すること、そして家族を取り巻く社会の構成員の視点も加えることにより、より理解が促進される気がする。2020/09/24