内容説明
「自分とは何か」との問いに対しては、さまざまな答えを出すことができる。しかし、自己の諸側面をいくら並べたところで、「ここにいる自分」というものは依然としてみえてこない。この行き詰まりを脱するひとつの手段として、自分というものをこの身体をもちここにいるものとみなすのでなく、たとえば「自分とはひとつの生き方である」とみなすことにする。自分をひとつの生き方とみなせば、自分を振り返る行為はぐっと具体的なものとなる。本書は、自分探しのあなたに贈る心理学からの1つの解答である。
目次
1章 自己とはひとつの物語である
2章 人は物語を生きる
3章 自己物語が経験を生み出す
4章 フィクションとしての自己物語
5章 自伝的記憶
6章 記憶は想起時の視点でつくられる
7章 記憶は偽造され、また修復される
8章 自己物語をかたどる文化的枠組み
9章 自己物語は他者との語りの中でつくられる
10章 自己物語と心理療法