内容説明
日本型生活保障のしくみが解体する中、足元が崩れるような不安が広がり、社会保障や雇用は政治的争点の中心にせりあがっている。にもかかわらず日本政治は、「構造改革」の徹底にも大胆な格差是正にも踏み出せない、膠着状況にある。このような状況は、なぜ、どのようにして生み出されたのか。社会保障や雇用をめぐる政治すなわち福祉政治は、何をなしうるのか。本書は、福祉国家の構造を示す福祉レジーム論や「劇場政治」のしかけに迫る言説政治論などを駆使して、今日の福祉政治を立体的にとらえる。そして、こうした新しい視点から、戦後日本の福祉政治の展開を解き明かし、膠着状況を超える展望を示す。
目次
序章 日本の福祉政治―なぜ問題か、どう論じるか
第1章 福祉レジームと雇用レジーム
第2章 福祉政治をどうとらえるか
第3章 一九六〇・七〇年代の福祉政治―雇用レジームと福祉レジームの形成と連携
第4章 一九八〇年代の福祉政治―福祉レジームの削減と雇用レジームの擁護
第5章 一九九〇年代後半以降の福祉政治―雇用レジームの解体と福祉レジームの再編
終章 ライフ・ポリティクスの可能性―分断の政治を超えて
著者等紹介
宮本太郎[ミヤモトタロウ]
1958年、東京都に生まれる。1988年、中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。立命館大学法学部助教授、ストックホルム大学客員研究員、立命館大学政策科学部教授などを経て、北海道大学大学院法学研究科教授(比較政治、福祉政策論専攻)、博士(政治学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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