病院の世紀の理論

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  • サイズ A5判/ページ数 330p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784641173590
  • NDC分類 490.21
  • Cコード C3036

内容説明

現代人にとって常識となっている病院を中核とする医療が、20世紀という時代の産物であることを明らかにするとともに、歴史を俯瞰する視点からこれからの医療政策を長期的に展望する。近代日本の医療システムを歴史的・理論的に位置づける力作。

目次

序章 病院の世紀という構想について
第1章 病院の世紀の理論
第2章 所有原理型医療システムの原型―明治期日本における開業医の形成
第3章 専門医化する日本の医師―20世紀前半日本における医師のキャリア
第4章 医療の社会化運動の時代―20世紀前半日本における医師の地理的分布
第5章 開業医の経済的基盤と公共性―20世紀前半日本における開業医の病院経営
第6章 病院の世紀の終焉―健康戦略の転換の時代
第7章 治療のための病床―20世紀日本における病床の変遷
第8章 医局制度の形成とその変容

著者等紹介

猪飼周平[イカイシュウヘイ]
一橋大学大学院社会学研究科准教授。社会政策、医療政策、医療史専攻。1971年生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。佐賀大学経済学部助教授をへて現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kotte

10
従来に医療制度が崩壊の過程にあり、新しい医療制度のあり方を模索している最中であると主張されています。難しい本ではありますが、医療システムについて勉強される方は読むべき本でしょう。本書と島崎謙治先生の「日本の医療」を読むと、医療システムの理解が進むと思います。2017/11/08

katakuli365

6
大野更紗著『さらさらさん』4時間対談で紹介。医療の私達の思い込みを整理してくれる。従来のの医師と病院の治療供給システムは終焉を迎えている。日本、米国、英国と医療のいシステムが違い、異なる土壌で比較出来ない。”治療する”を目的とした日本の医療制度の歴史的変遷から、生活習慣病、老化、障害などの”治せない””簡単に死なない”の増加、財政問題がある。今後は予防、医療、生活支援(福祉)の「包括ケアシステム」へと移行するの内容。医師中心から地域住民ネットワーク中心へのに移行とは?更に深く内容を考えて行きたい。2013/05/23

teddy11015544

5
学術論文なので決して平易ではありませんが、医療や病院の成り立ち、今日本の医療の制度がこうなっている理由などが考証されていきます。病院の世紀が終わり、包括ケアに進んでいくなかで、医師の専門医としての在り方も変容していきます。医師は個別に病気を治す自体は医療のリーダーでいられた。しかし包括ケアの時代には、治らない病気や生活を支援していくために、もっと時間をかけた個別の、科学的ではないタッチが必要となる。看護師・保健師または別の職種が新たに主導していく時代になるんだろうか、と予見している。腑に落ちます。2013/07/09

Akihiro Nishio

3
大著であった。序盤、1920年以降、つまり近代医学が普及しはじめたころからのイギリス、アメリカ、日本の医療制度を比較して論じるのだが、中盤以降は、ずっと日本の医療制度の話である。これがうんざりするほど膨大で不完全な資料を丁寧に読み込んでいくという作業のもとに成り立っており、すさまじい迫力を醸している。日本の医療の現状が、江戸時代から明治、戦後へと繋がる歴史の中で、その当時の必然から生じた産物であったことがよくわかる。日本の医療について論じる人は必ず読むべき本である。2013/04/26

Yasutaka Nishimoto

1
よくこんなに文献に当たれたなぁというのが正直な感想。漢方医から西洋医学へという明治政府の方針があり、医師の養成やら公的病院の建設、そして開業医が行き渡る過程など、いままで想像したこともなかった。医師と他職種との関係や、医療不信から現在のシステムに至るまで納得がいった。こういうことを知った上で、これからの医療や地域、そして国のあり方まで考えていくべきなのかもしれない。2018/06/13

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