内容説明
幾重にも折り重なる憲法学の地層。深く掘り進み、先人の足跡を知る。豊かな知の営みのひとつひとつを辿りながら、しかして、いま、その先に何を刻むのか。憲法学の行方をも問いかける、一連の挑戦。第2版では、「憲法訴訟論」「地方自治の本旨」「教育の自由」にも焦点を当て、そこにある「現代的論点」を炙り出す。
目次
第1部 憲法総論・統治機構(憲法・憲法解釈・憲法学;法秩序における憲法;憲法と立憲主義;9条・平和主義と自衛隊;立憲主義と議会;「行政権は、内閣に属する」の意義;司法権の概念;憲法訴訟論;地方自治の本旨)
第2部 基本的人権(「憲法上の権利」の解釈枠組み;私人間効力の理論的意味;個人としての尊重と公共性;公務員の人権;平等原則;信教の自由の展開;表現の自由の保障構造;放送の自由;「教育の自由」;投票価値の平等について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すずき
1
教科書と論文集の中間といった感じだろうか。林先生が自身のホームページで、多数の「教科書として使えるようなオーソドックスな論点整理を提供したい派」と少数の「教科書とか知らんから自分のやりたいこと書いて暴れてやる派」がいたと述べている(なお林先生は後者)。1章の南野森がいきなり暴れている(彼の法解釈についての見解は面白い)ので教科書という感じはしないけど。人権の章も私人間効力、表現の自由は試験に向けて重宝した。巻さんはえらい。2019/02/06
ブルーマッチョ
1
中型の論点集?としては他に小山駒村先生のやつがあるけど、こっちの方が紙幅が確保されているからかわかりやすい。幅広い読者を想定しているんでしょう。そこまで憲法上級者でなくても勉強になります。フォントとかレイアウトとかも好き。2013/11/11
まさやん510
0
「憲法学の展開をたどりつつ、その現在を提示すると同時に、新たな思考枠組み、視座設定の可能性を探る」とはしがきにあるとおり。憲法学の各分野の現時点での到達点を示しながら、各執筆担当者(宍戸常寿先生や木村草太先生などの若手研究者)が違った角度からの考え方を提示されていて、とても参考になった。2011/10/18