出版社内容情報
さまざまな宗教伝統をもつ宗教の創始者について,その社会学的な意味を問い,現代宗教の諸側面に肉迫。 目次 教祖の理論的考察 教祖とその信仰体験(自己受容化とカリスマの成熟/現代新宗教におけるカリスマ) 教祖と教祖をめぐる集団 教祖とその時代
内容説明
気鋭の学者グループが“教祖”に着目し、貴重な資料をもとに、“教祖”生成のダイナミクスを浮き彫りにしながら、日本の宗教的伝統の水脈に瑞々しい考察を加える。カリスマ理論をはじめとする従来の西洋の宗教社会学的な分析手法、概念では充分に論証ができないさまざまな問題について、独自の概念、新しい視座を提示。わが国の宗教社会学の今日の水準を示すとともに、鮮やかな里程標をしるした。
目次
第1部 教祖の理論的考察(教祖と宗教的指導者崇拝の研究課題;ヴェーバー社会学におけるカリスマ論の位置)
第2部 教祖とその信仰体験(自己受容化とカリスマの成熟―円応教教祖深田千代子の場合;現代新宗教におけるカリスマ―高橋信次とGLAに関する一考察;救済体験と宗教的権威の形成―ウェスレーとメソディズムの場合)
第3部 教祖と教祖をめぐる集団(分派教団における教祖の形成過程―妙智会教団の場合;教祖のドラマトゥルギー―カリスマの制度化と継承;信者の意識から見た仏教運動の創始者―大日本仏教救世軍と真田増丸)
第4部 教祖とその時代(蒙古来襲期における仏教系新宗教運動とその教祖達―叡尊、忍性、日蓮一遍;中世の宗教運動とその創始者―特に伊勢神道発生に留意して;専修念仏宗における指導者像の変容―『選択集』製作を通してみた)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
0
第Ⅰ部の概論的な部分は学問の学問といった位置の論文であり、私にはあまりピント来なかったが、第Ⅱ部以降は各論に入り俄然面白くなる。本書では、円応教、GLA、メソディズム、妙智會、イタコ、天皇、金光教、天理教、大本、大日本仏教済世軍、真言律宗、法華宗、時宗、伊勢神道、浄土宗等が扱われている。教祖の内面形成から教団形成への過程、あるいははっきりと教祖と呼びうる者を持たないような分派の形成過程、制度化されたカリスマと霊能カリスマの比較と関連、教祖の死後における教団の維持あるいは消滅といった興味深い視点の中で、→2014/12/18