出版社内容情報
目次 民俗宗教におけるミロク(みろくの船/ミロク信仰の流布と機能/鹿島踊の考察【ほか】)日本宗教史におけるミロク(律令社会における弥勒信仰の受容/平安時代における弥勒浄土思想の展開/富士講の夜明け【ほか】)比較宗教論におけるミロク(元・明革命と白蓮教)
感想・レビュー
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てれまこし
6
救世主思想、至福千年思想はアブラハムの宗教に限られない。アジアには弥勒思想があった。ミロクは仏教の菩薩であるが、民間信仰の対象としてのミロクは仏教の教義とは合致しない。抑圧に苦しむ民衆の鬱積した不満を掬い上げ、それを現世の政治秩序の変革に向けるのに恐ろしく有効な武器なのである。仏教とかキリスト教とかイスラムというよりは千年王国思想の方に注目すべきであろうかと思う。実際に、弥勒信仰は移住先の土着の信仰に接木される形で受容されることが多く、ミロク思想の内在的な論理だけではその形態や政治的影響力は説明できない。2019/06/10