内容説明
五重塔はかつての超高層建築物。塔先端の相輪がインド生まれの釈尊のいわば墓標で、最重要部。はるか遠くから拝み見るためのものだった。大和の塔をはじめ、各地に残る三重塔、多宝塔、宝篋印塔、五輪塔などから御仏を偲ぶ「かたち」を探す。
目次
さがしてみよう日本のかたち 大和の塔(薬師寺;興福寺;霊山寺;法隆寺;法起寺 ほか)
さがしてみよう日本のかたち 全国の塔(五重塔;三重塔;多宝塔;石塔)
著者等紹介
日〓貞夫[ヒビサダオ]
1947年生まれ。日本写真家協会会員。日本の歴史と風土、先人たちの感性から生まれた「日本のかたち」をテーマに、風景、建築、文化財、美術品などを撮影
桑子敏雄[クワコトシオ]
1951年生まれ。東京工業大学大学院社会理工学研究科教授。文学博士。現代社会における合意形成プロセスを研究中
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感想・レビュー
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kthyk
17
塔は景観的に特異な存在、自分との距離という空間的存在であり、造られた時代との距離という時間的存在でもある。宗教的意味により生み出され、時代による破壊と再建、さらに現状の姿から様々な空間的、時間的意味が表現されている。観光ガイドではないが、決して専門書でもない。日本建築に関心があるなら明解な解説書。法隆寺から鎌倉以降の諸仏教に引き継がれ、信長・秀吉に壊される前の室町時代は多塔時代だ。塔は悟りに到達した如来の身体の象徴であるから、それは遠くを見る建築ではなく、遠くから見られるための建築、というところが重要だ2021/06/28
hyde
4
初めに書かれてある「風景の中の自己」がとても印象に残った。納得するばかりの内容。写真は撮影者自身を映す鏡のようなもので、良い写真を撮るためにはそれを撮るに値するだけの知識が必要だと思いました。同じ風景を見ても良いと思う人と思わない人がいる、それは見ている側によって見えている風景が変化しているからである。自身の心を映したものが自分の見えている風景。2023/08/28
さびる
0
五重塔はかつての超高層建築物。塔先端の相輪が釈尊の墓標で、最重要部。三重塔、多宝塔、五輪塔などから御仏の「かたち」を探す。 2007/07/25