内容説明
グローバルな世界史的文脈と新たな政治文化の生成から読み解く、フランス革命史研究の第一人者による最後の著作。
目次
序 われわれ日本人にとって、フランス革命とは何か
第1章 フランス革命の世界史的位相(ヨーロッパ地域世界の国際情勢;再構造化する地域世界とフランスの窮状)
第2章 苦悩する王政(国家構造の行詰り;変貌する社会と政治;民衆の問題―農民と都市民衆;政治文化の転換と「公論」の出現)
第3章 ルイ一六世下の改革(王と王妃;改革の始動―モプーの司法改革;テュルゴからカロンヌへ)
第4章 革命への序曲(王政の苦悶―政治的統合力の崩壊;代表権問題の新局面;変革三体の形成;全国三部会の選挙;民衆騒擾)
結びにかえて 革命のはじまり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y田
13
フランス革命を一国の個別の出来事として見るのではなく、18Cという時代の流れや世界情勢などの連関構造で捉える視点で解説する。又、その原因も一つではなく複合的な要因だとし、「貴族vsブルジョワ」の構図の様な階級闘争的な見方を否定、複合的な社会要因をいかに捉えるか、という事を論じている。◉時代背景を知れたのが良かった。例えば高等法院との司法権力闘争の事。また政府は時代に合った構造改革を、王政の秩序を保ったまま必死にやろうとしていたのも分かった。広い視野、複数の視点で物事を見る必要を感じる。2020/10/28
中島直人
10
(図書館)読了。エピソードが挟まったりして学術的に過ぎず、適度に読みやすい。フランス革命をより広い観点から捉え直すことができ、勉強にはなるが、いかんせん面白くはない。2018/06/30
Isamash
3
東大文学部柴田三千雄教授の遺稿。明治維新は所謂革命とどう違うのかという疑問を抱いたが、革命の代表フランス革命に関して殆ど何も知らないことを自覚して本書を手に取る。遺稿なので革命開始時1789年10月ヴェルサイユ行進のところで終わるが、背景となる国際情勢、王家の窮状、貴族やブルジョワの状況が丁寧に論述されていた。ルキノビスコンティの映画を見て貴族の特権に驚かされたが、フランスにおける名門貴族や非名門の貴族の他に、職の購入による一代限り貴族の存在を初めて知った。革命の開始が一連の出来事の集塊であったのは意外。2021/08/21
陽香
2
201204202017/04/25
こねほ
2
タイトルの通りで、フランス革命の原因を考えるために、たくさんの背景情報の中に、歴史家たちがどのように分析してきたかというのを配している。新しい本なので、政治文化論までカバーしていて(そして著者は一定の理解を示しているように見える)、中身は平易な文章で丁寧に記されていてわかりやすい。当初の構想では本来は3冊構成だったそうだが、途中で著者が亡くなってしまい、1冊目だけが日の目を見たとのこと。残りの2冊で何を書こうとしたのか、気になるし、ものすごく読みたい。。。2012/07/01