内容説明
科学技術という言葉はいつどうして現れたのだろうか、それと現在の科学技術政策はどのようにかかわるのだろうか、本書では、さまざまな研究を学びながらその謎に取り組んだ。
目次
1 科学技術政策とは
2 明治維新期の科学技術
3 明治国家体制の確立と技術官
4 第一次世界大戦への対応
5 科学技術政策の発足
6 戦時下の科学技術政策
7 科学技術政策の復興
著者等紹介
鈴木淳[スズキジュン]
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻、日本近代史。現在、東京大学人文社会系研究科・文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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更紗蝦
10
日本の科学技術政策における予算と人事の変遷を追った本です。科学の分野に限らず、芸術や建築方面であっても日本という国は技術者をきちんと評価しない傾向にありますが、明治期の官僚制においては技術官が出世できない仕組みが出来上がっており、技術者を軽視する日本の風潮は筋金入りだと感じました。2010年出版の本なので、戦後の原子力政策の行きついた先(=原発事故)には触れられていませんし、大学の軍事研究に国の予算が注がれる仕組みである「安全保障技術研究推進制度」が2015年から開始されたことにも触れらていません。2017/06/05
Mentyu
2
「若者の理系離れ」や、分かりやすい結果の出る研究ばかりに研究者が群がってしまうという問題は、なにも最近に限った話ではなかったということを知った。2017/08/20
あまたあるほし
2
すばらしい。日本の技術者に対する扱いの悪さが歴史的見地からしることができる。2010/08/16
しろっこー
1
金研がNIMSに統合されたことになっててウケた. NIMSの前身である金属材料技術研究所と東北大学の金属材料研究所(金研)がごっちゃになってる2022/04/27
aeg55
1
明治維新以降の科学技術に対する政策の通史。結局の所、科学技術は殖産興業富国強兵の為に存在してきた。敗戦後、企業/財閥を温存してきたが、日本の成長も終わり科学技術を後ろ立てる財源たる軍が存在しない為に廃れてしまうのも必然なのだろう。technologyの訳語「技術」を与えたが、liberal artsを芸術とするのに対置して、mechanical arts を技術と訳した、という記述に納得。日本にtechnologyが根付かない原因が訳語により運命づけられているのであろう。2021/04/27