感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハンギ
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戦前の社会保障についていろいろ書いたもの。たぶんかなりマルクス主義の人みたいでちょっと読みづらい。一部には年表があるけど全部まとめて欲しかった。1911年、工場法が成立したが、12歳以上15歳未満の子供と女性に関しては12時間労働を認めるという法律で、しかもこの規定の実施は15年先送りのようだ。ということは、日本の労働規制が導入されたのは1920年代中頃の話になる。しかも日雇いや零細企業は入っていない。国民健康保険も徴兵検査の悪化に歯止めをかけるために軍部主導で厚生省ができたっぽい。なんかすごいなあ。2013/01/05
紙魚
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用語の使用法や表現にはかなり違和感を覚えた。著者はなにかと「天皇制国家」という用語を使いたがるが、この必然性がわからない。まあ、このあたりは教育をうけた時代に依るところが大きいのだろう。内容そのものは大変興味深い。そういえばナチスドイツも健康をかなり意識してましたね。精神論ではどうにもなりませんから、こうした制度保障が必要となる。それにしても、ボランティア精神に頼ったり、相互扶助ばかりアピールするあたり、なんてけち臭い政府かと悲憤慷慨したくもなる。2009/03/04
gkmond
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戦前戦中の社会保険の成立過程と特徴を論じた本。なんも知らなかったのでめちゃくちゃ面白かった。今に受け継がれる労働運動潰しの策としての社会保険制度って見方は目から鱗だった。で、戦時中もやってる感だけの空約束で国民から搾り取ってたらしいんだけど、今は平時で10年同じことしてるわなあとか思った。破綻までどれくらいなんだろね。2023/05/10