内容説明
近代日本とアイヌの間にはどのような関係が形成され、どのような問題があったのだろうか。これまでのアイヌ史研究の成果を踏まえて、まず、第一に近世日本とアイヌ社会の関係を概括し、第二に近代日本とアイヌ社会の関係を、どのような視点から分析する必要があるのかを検討してみよう。そして、近代日本とアイヌ社会の関係を捉えなおしていきたい。
目次
近世日本とアイヌ社会
近代日本アイヌ史研究の視点
1 「北海道旧土人保護法」
2 帝国議会における「北海道土人保護法案」
3 アイヌ社会と勧農政策
4 共有財産問題とアイヌ
5 「北海道旧土人保護法」制定後のアイヌ社会
著者等紹介
麓慎一[フモトシンイチ]
1964年生まれ。北海道教育大学教育学部卒業。北海道大学大学院文学研究科博士課程(日本史学専攻)単位取得満期退学。専攻、近代史。現在、新潟大学教育人間科学部助教授
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感想・レビュー
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後藤良平
2
アイヌについての保護法の内容とその経緯、保護法成立後のアイヌ社会についてまとめたもの。まとめでは、アイヌの土地問題を解決するために色々な政策が作られ、その結果としてアイヌの日本人化が進行したと語られている。アイヌの保護という考えでなく、あるエリアをそのままアイヌに任せるようなことができていれば違った展開になったと思うが、北海道への軍の進駐、全国からの開拓者の移住などから、そんなことは不可能だったのだろう。年間No.50購入。2021/04/27
takashi1982
2
著者は現・新潟大学教授(日本近代史)である。タイトルはかなり大きなテーマであるが、あの「北海道旧土人保護法」が成立する前後の制作過程について歴史的経緯について述べられた本だ。アイヌの和人への「同化」を促したと否定的文脈に捉えられる土人保護法だが、この法律制定の背景には幕末から明治以降、アイヌが植民する和人に追いやられる形で相当に生活が困窮していた様子が窺える。大規模な農耕には不慣れであり、西洋近代的な土地所有関係を理解しないアイヌは和人からの詐欺にも直面していた。(続く)2012/01/23
こずえ
1
アイヌに対して勉強し直したいという人に最適。コンパクトでよい
りゅう
0
結果として同化になってしまったことは否めないとしても、北海道津旧土人保護法の目的が真に保護であったことは、有益な情報だった。2023/08/25