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Historia
賄賂とアテナイ民主政―美徳から犯罪へ

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  • サイズ B6判/ページ数 189p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784634491991
  • NDC分類 231
  • Cコード C0322

内容説明

贈り物のやりとりが人と人との絆を深めていた古代ギリシアでは、賄賂もまた贈り物の一つであった。もともと贈与互酬の美徳を大事にしていたギリシア人が、ある時から賄賂をきびしく断罪するようになったのはなぜか。デモクラシーの故郷であるアテナイ民主政を舞台に、古代市民が賄賂の問題とどのように格闘したかを探る。

目次

1 賄賂と贈与
2 贈り物は神々をも説得する
3 ペルシア戦争という転機
4 さまざまな賄賂
5 罪と法
6 賄賂と民主政

著者等紹介

橋場弦[ハシバユズル]
1961年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ジュンジュン

13
贈与と賄賂の境界は曖昧だ。何かしら見返りを期待してする点で、初詣で賽銭を投じる事も賄賂に相当?古代ギリシア人にとって、贈り物をし合う事は人間関係を円滑にするツールなので、賄賂も贈与の一種とみなされ、ある程度許容されていた。ところが…アテナイ民主政にとって戦争の与える影響は甚大だった。人心は荒廃し、少しの賄賂も許さない不寛容な社会へと変質していく…。2022/11/26

Saiid al-Halawi

9
文化的因習に根ざした贈答習慣があったので賄賂にそれほどセンシティブじゃなかったアテナイ市民。共同体の危機たるペルシア戦争を契機にそれまでの考え方を改め、収賄/贈賄の別なくこれを取り締まるようになる。富の力が民主政治の公共性に干渉することがあってはならない、というプリンシプルが、少なくとも理念の上でブレなかった点ではさすがだな、と。2013/03/10

たかし

2
贈与と賄賂の関連性から見ていく。見ていくと,古代ギリシアでは敵国の将軍を買収する,というあまり現代日本ではみないような形態の賄賂が横行していたというのは面白い。企保的に,古代ギリシアに詳しい人向けで,ペリクレスくらい知って当然みたいな感じで書かれているのだけど,その辺に疎い僕にはちょっと辛い。ただ,イリアスにおける贈与みたいな文学作品の解説は非常に面白くて,ディオメデスとグラウコスの間でなされた鎧の交換をクセニアの関連から説明しているところなど興味深い。2019/02/23

ハルバル

2
アルカイック期までは「うるわしい美徳」であり、人間関係の潤滑油だった贈与がいつ賄賂という悪しき概念と結び付き、それを罰する法制度がどのように整備されたかを、様々な古典史料(碑文、法廷弁論など)によって読み解く。ペルシャ戦争という巨大な外部からもたらされた富により、国益を脅かされたいくつもの収賄事件がターニングポイントになる。贈賄に対しては一般に寛容など、見え隠れする矛盾はギリシャ人の文化的習慣によるものであり、決して民主制の腐敗に帰せるものではないと筆者は言う2014/11/22

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