内容説明
現代人にとっては、あまりにも当たり前のことになってしまった避妊。それはいつ、なぜ、どのようにしてはじまったのでしょう。生殖をコントロールするのが「正しい」ことになってゆく過程で、私たちはなにを失い、なにを得たのでしょう。これは、産む、産まないをめぐる熱い闘いについての「歴史」であると同時に、「いま」の私たちの位置についても考えるための本です。
目次
第1章 「静かな革命」のはじまり
第2章 バース・コントロールの時代
第3章 科学の旗のもとに
第4章 性愛と結婚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
26
昨年から取り組んでいる共同研究に近い分野。夫氏蔵書から発掘。非常に面白い。まったくひっかかりを覚えない、流れるような文章。一気読みしたいところをこらえて、ノートを取りながら読んだ。英米でバースコントロール運動を推進した女性2人(サンガーとストープス)を中心に、避妊、堕胎、中絶の歴史と思想と運動について記述。運動家たちの火花散るライバル関係や、強烈すぎる個性、主張とは矛盾するような私生活にはたじろいでしまう(コンプレクスも関係しているのではないかという説もあるようだ)。(つづく)2021/09/14
イボンヌ
8
バースコントロールの歴史について学べます。人間は試行錯誤しながら変わり続ける存在なのだと思い知りました。 多数の引用がありますが、巻末の引用文献一覧をみると殆ど外国語のものであることが、象徴的かもしれません。 ただ引用の仕方が「」で括られているもので、地の文の中に沢山挿入されているのが解りにくいと感じました。2021/10/13
かめすけ
3
リプロダクティブ・ヘルスの勉強のためにかねてから読みたいと思い、のんびり2ヶ月かけて読了。中絶や避妊といったバースコントロールに対する対処は、法律や思想の面からみても明らかに世相を表していることがよくわかった(先日の緊急避妊薬の問題然り)。マルサスの『人口論』を起点に考え出された「人口抑制」に始まり、マーガレット・サンガーとマリー・ストープスの2人の避妊法の普及活動を中心に語られる。異なる二人だが、時代の傾向も相まって優生学と非常に近い距離におり、また当時の異性愛主義やジェンダー規範に沿うことで世間に受け2020/11/03
優
2
さらっと半分ぐらいまで読んだ。2022/07/03
check mate
2
20世紀前半の出生制限思想について。フェミニズムとの微妙な関係、優生思想への傾斜、異性愛主義の信奉。主唱者たちの私生活。 バチクソに面白かった!2020/11/05