内容説明
情愛によって結ばれる血縁家族は、近代になってはじめて誕生した家族像である。家族の歴史は、その理解のされ方、現実の生活の両面において非常に多様であった。本書では、ドイツを中心に十八世紀から二十世紀初頭にいたる家族の歴史的変遷を追い、家族にかんする言説、概念規定、経済的・社会的基盤、家族内の人間関係をたどりながら、伝統家族と対比される近代家族の特徴と、その生きられた姿を階層ごとに描き出す。
目次
近代史における家族革命
1 歴史人口学と家族
2 伝統家族から近代家族へ
3 近代市民家族の特性
4 ヴィクトリア期の家族
5 労働者層の家族
著者等紹介
姫岡とし子[ヒメオカトシコ]
1950年生まれ。奈良女子大学理学部卒業。フランクフルト大学歴史学部修士課程、奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。文学博士。専攻、ドイツ近・現代史。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kapo54
1
現代の家族観を相対化する一助となる2018/06/28
こずえ
0
家族史・社会学をやる上でヨーロッパに限られているしページ数も少ないので手をつけやすい
のとや書架
0
表題通り、ヨーロッパの家族史について。家族って概念は実は新しい物だと気づく。2009/02/10
伊藤直起
0
学校では「家族」というのが「キリスト教的」と批判の意味で教えられていた(真に受けていた訳では無い)が、「小さい大人」だとかのように元々愛情の欠片も無い環境が常だったという歴史を辿ると今の「家族」は寧ろ人類が獲得してきた権利なのでは無いかと思ったりする。2020/08/14
xxx
0
18世紀からヨーロッパの家族形態の変化とジェンダーの変化は切り離せない関係にある。労働と家庭が分離し、プライベートな空間になると、女性は「家庭の天使」として家内労働に着手する。それは生まれつき女性は男性よりも道徳的である(男性とは違う存在)というイデオロギーによって補強された。近代は主にミドルクラスが中心の時代なので、当時の階級意識について詳しく勉強する必要があるかもしれない。2019/06/14