感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鏡裕之
3
実質70頁ほどと非常にコンパクトだが、侮るべからず。中身は濃い。唐代までのシルクロードのキャラヴァン交易をほぼ独占したのは、ソグド人だった。そのソグド人は、キャラヴァンという言葉は使わずサールトという語を使っていたこと、キャラヴァン交易(サールト交易)では奢侈品が扱われたこと、オアシス国家で開かれる「市」に課されていた税を唐が廃止して公道を整備し、交易を活発化させたことなどが記されている。「月の砂漠をラクダでのんびり」と素朴なイメージを思い描いている人には、特に驚く内容だろう。是非読んでおきたい一冊。2016/01/08
samandabadra
2
ソグド人のネットワークの形成に関してが中心的なお話。征服王朝との親和性と中国内部への浸透の過程が描かれていて非常に勉強になった。 ササン銭から唐銭へ6世紀から8世紀にオアシス国家での流通されている主要な通貨が置き換わっていくプロセスが分かる。 それにしても3割近く連れている動物が損失しても十分もうけになるぐらいリスクが高くとも儲かる商売だったのだということにびっくり。隊商、キャラバンをあらわす言葉として使われたサールタがサンスクリット語だと書かれているが、どうやってサンスクリット語が入ってきたのだろうか2018/01/06
祐李
2
わかり易くまとめてて読み易い。ソグド人の商業能力は特殊な才能と言われても納得してしまう。生きるための知恵、世渡りの術欲しい2014/11/16
ACTIVE GALACTIC
2
漠然としていたオアシス交易のイメージがすこし肉付けされた。/ 近隣オアシスとの往来ですら3割の馬や驢馬が損耗するハイリスクな貿易で、成功すれば莫大な利益をもたらす。 / 乾燥地帯を覆う金融・運輸・情報のネットワークで、中国からイランに至る情報が飛び交い、遠く離れた洛陽が陥落する様子と市況が克明に伝えられる。上に政策あれば、下に対策ありと、あの手この手で規制をすりぬけていく。/ 中華帝国が西方に兵を出すときには兵站の一部を請け負っていた。2013/03/04
shiro
2
唐代には規制で自由な交易は出来ず、東西交易の代名詞である絹も、オアシス諸国に駐留する軍の軍需物資として中国内地から送られていたのがほとんどだったらしい。その中でも抜け道を見つけてうまくやっていたのがソグド人2012/08/06