内容説明
正統と異端が織りなすダイナミズム。これは他の文化圏とくらべて、中世ヨーロッパ世界に特徴的な歴史事象である。ヨーロッパでは、中世の正統と異端の相克のなかから、宗教改革の理想も市民革命の精神も生まれたといってもよい。本書では、中世の異端者たちの理念と現実を、個別のセクトの教義と運動のあり方から描き出し、ヨーロッパ社会にとって異端とはなにかという問いに迫る。
目次
異端の問題とはなにか
古代から初期中世の異端
教会改革からヴァルド派へ
カタリ派
千年王国主義と異端
自由心霊派
ウィクリフとフス
宗教改革への展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花林糖
20
(図書館本)中世ではカトリック教会に異を唱えたり、脅威になる会派などが異端認定。2016/05/26
組織液
11
宗教関連はいつもいつも苦戦しますが、これは非常に分かりやすい本でした。異端審問などの話だとだいぶカトリックはボロクソ言われてますが、異端側もまぁまぁ() 特に自由心霊派の霊的に自由なものは盗みも殺しもOK理論は衝撃でした。他の異端関連の本も読んでみたいです。2020/06/14
Saiid al-Halawi
10
ヴァルド派、ドナートゥス派、アマルリック派、自由心霊派・・・etc。これだけバラエティに富んだラインナップがあるのも、すべて時のカトリック教会権力の腐敗と制度疲労とジャイアニズムがあればこそ。2013/04/08
∃.狂茶党
7
国家をまたぐ教権の力というのはピンとこない。 日本が大東亜共栄圏に張り巡らそうとした、神社はこれに関連するのだろうか。神道は土俗宗教のはずで、異民族の地に設置することは、教化とは別の意図があるはず。 異端審問が当初いかなる機能であったかが伝わってくる、 これはカトリックあるいは国家の治安維持装置だ。2022/04/27
YS-56
6
誰もが死後救われるためには?現世で富を集め腐敗していく教会権力に疑問を持った者が、その権力から異端扱いされた中世。異端の真意を知ることは今なお価値あることなのかもしれませんね。2022/06/09