出版社内容情報
カール・ポパー[カール ポパー]
著・文・その他
ポパー哲学研究会[ポパーテツガクケンキュウカイ]
翻訳
内容説明
本書においてポパーはT・クーンのパラダイム論のような相対主義をフレームワーク(準拠枠)の神話にもとづくものとして批判し、科学の合理性を擁護する。また、ハーバーマスやアドルノのようなフランクフルト学派を批判し、歴史哲学に立ち入り、社会科学の方法を明らかにする。来たるべき二十一世紀へ向けて科学の新たな可能性を探るとともに名著『よりよき世界を求めて』の理論的補完とも言える明解な講演・論文集。
目次
科学革命の合理性
フレームワークの神話
理性か革命か
追録1974年―フランクフルト学派
科学―問題、目的、責任
哲学と物理学
科学者の社会的責任
歴史哲学への多元論的アプローチ
モデル、道具、真理
認識論と産業化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
2
問題を理解するとは、それを理解する唯一の方法の存在を信じて解決しようとして失敗することだ。解決の困難によって問題は理解される。それゆえ、著者の批判的合理主義は、議論の前提にある原理や公理を受け入れて始まると考える従来の知のフレームワークを退け、複数のフレームワーク同士の議論を促す。同時に他を受け入れずフレームワークに固定されて成り立つニュートラルな観察なる観念や、極論を避けながら単一のフレームワークに留まる相対主義が批判される。誤りから始まる合理的で討論的な反証主義は、複数世界の肯定によって支えられる。2017/06/03