出版社内容情報
〔哲学者のライフワークについての対話〕〈批判的合理主義〉の巨匠ポパーが、マルクス主義批判、実証主義批判をふくめ、21世紀の思想のゆくえと科学研究の方法論を展望する対話。
内容説明
いまや今世紀最後の大哲学者とも言える、〈批判的合理主義〉の巨匠の思想の成立と構造が、わかりやすく説明される。インタビューに答えながらマルクス主義批判、実証主義批判をふくめ、21世紀の思想のあり方を、科学研究の方法論とからませて展望する洞察は鋭い。絶好のポパー哲学入門書。
目次
反駁されそうもないもの、それは何も語っていないか、ごくわずかのことしか語っていない
誰が支配すべきか―誤れる問い
想像力喪失の貧困
われわれの仮説がわれわれに代わって死んでくれる
シーシュポスと幸福
証明は存在しない―反駁が存在する
円は美しい、が、楕円が正しい〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
14
元がTV番組というだけあり、ポパーの著作の中でも特に分量が手頃で、さらにその思想の主要モチーフがほとんど表れていて入門に向いている。一つには、科学の方法論における反証主義の強調。人間は検証によってなにか正しいものをポジティブに確信することはできない。可能なことは、ただ以前にある理論の絶え間ないテストと誤りの修正であるという定義は、現実の科学の営みを肯定しながらもオーソドックスさにとどまらないトリッキーさも持つ。そしてその反証主義が政治哲学においては、マルクスやプラトンなどの全体主義への否定にも繋がっていく2018/08/03
roughfractus02
2
三世界論での客観的知識から成る世界3は、叙述的段階から発生するとする著者は、記号は世界1の物理的作用でなくその叙述内容が他者に作用する点を強調する。世界1と世界3は直接作用し合うのではなく、主観的知識から成る世界2を介するのだ。それゆえ世界3は自律的でも世界2と相互に交流し、それ自身議論される動的世界であり、両者の相互作用によって共に開かれているとする。この点世界1と世界2に関しても同様だ。本書は世界3を模したテレビでなされた対話だが、彼の議論に対する相互作用はこのメディアに抑制され、書物に引き渡される。2017/02/24
gerumanium
1
ポパーの書を初めて読んだ。彼は彼なりに反証主義以外の世界もみつめていたのだなぁと本書から伺える。2010/11/02
katsu708
0
タレブが絶賛した筆者。論点のすり替えど、具体的な話題なのに抽象的で曖昧に進む議論(それが反証主義であるとしても)、あちこちに話が飛んで深まらない思考に耐えられずに1/3ほどで読むのを止めた。2011/11/01