感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
11
戦後すぐ、農地改革の最中にあって全国を農業指導で回っていた宮本が、その途上で行った調査の記録。この巻は西日本中心の、どれも無名の21の村。ついでの調査なので分量も内容もバラバラだが、土地所有についてだけは必ず盛り込まれている。◇話者は各地の旧家の主たち、彼らは自らの村を主体的に支える人々であり、旅から新たな技術を取り込みもする。だから「タテ社会」にはならないし、村の運営は村人どうし同格に行っている。◇一方同じ地主でも、村外にいて資金力で農地を集めた者に対しては宮本の筆はかなり冷酷。彼の価値観がよくわかる。2014/02/21