感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
15
中学生向けに書かれた「ふるさとの生活」と「日本の村」を収録。戦後すぐに『先祖の話』で日本の再建のため社会科教育の創設に取り組もうとした柳田の檄に応じたものではないかと思うが、冒頭がいきなり「滅びた村」である。開拓の失敗の跡をたどることを通じて、少しでも暮らしをよくしようと奮闘してきた父祖の姿を知らせようとしたものか。確かにそれは、敗戦直後の自分たちの誇りを取り戻すために好適。確かに偉人の業績などよりずっと、こちらのほうが底の深い誇りではないかと思う。続いて村の変遷、固定したムラ社会の姿など、どこにもない。2014/02/09