出版社内容情報
〔シェイクスピア・ファクトリー〕旧東独に留まりながらヨーロッパの歴史を拠りどころに強靱な批判精神を発揮した劇作家H・ミュラーの注目のテクスト集。他に「タイタス解剖」他。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mstr_kk
9
15年くらい前に読んで、絶大な影響を受けたハイナー・ミュラー、久しぶりに読み直しましたが、やっぱり最高にクールです。30代前半に吉本隆明を頑張って読んだおかげで、意外にも『ハムレットマシーン』が理解できるようになっていました。『ハムレットマシーン』は、旧東側の共産主義に対してアンビバレントな感情を抱くマルクス主義知識人が、支配層と大衆の間での自己分裂に耐えられなくなって「いっそ機械になりたい」と叫び、最後の希望を女性に託す、という詩だと思います。それにしても、言葉が本当にカッコよくて痺れます。2017/06/03
misman
1
基礎知識がなさすぎた... 再読して深めます2017/06/30
e.s.
1
最後に包帯に巻かれ車椅子に残されたオフィーリアは、資本主義の戦争機械であるRAFやマンソンファミリーの女たちであり、また自殺を繰り返し亡くなったミュラーの妻の姿でもあろう。彼女たちはミュラーの言う、思考と生のパラドックスを生きた存在である。共産主義の崩壊とともにその芸術様式である演劇から役を降りたハムレットは甲冑をまとい、カフカの甲虫のごとく「逃走」する。「激しく待ち焦がれながら/恐ろしい甲冑を身にまとって/数千年」。逃走、待つことは、繰り返し言うならば歴史の内で思考と生のパラドックスを耐えることである。2015/06/26
MaRuTaTSu
1
ずーっと読んでみたくて、ようやく読んだ!ちょっと前の自分なら、意味が分からなすぎて、なんだこれって打ち捨ててたかもしれんな。 とりあえず、衝撃でした。ブレヒトで止まっていた俺の現代劇が再び歩を進めだしたかな。2012/03/17
trash
1
”こちらはエレクトラ。暗闇の中心。拷問の太陽の下。世界のすべての首都にむけて、犠牲者たちの名において、伝えます。わたし、わたしが受け入れてきたすべての精液を吐き出します。わたしの乳房の乳を致死の毒に買えます。わたしの産んだ世界を回収します。わたしの産んだこの世界を、股の間で窒息させます。わたしの恥部に埋葬します。隷属の幸福を打倒せよ。憎悪、軽蔑、暴動、死よ、万歳。彼女が屠殺者の探検をもっておまえたちの寝室を通りすぎる時、おまえたちは真実を知ることだろう。”ハムレットの原型をかなり壊しつつも、登場人物の台詞2011/09/17