出版社内容情報
鈴村 和成[スズムラ カズナリ]
著・文・その他
内容説明
ヨーロッパからアフリカへ。天才詩人ランボーの謎の足跡を追って、アフリカにおけるランボー研究の第一人者が残された商用書簡や家族への書簡等をつうじてランボーの後半生を、詩の断絶ではなく延長線にあるとする独自の見地からその行動を読み解こうとしたミステリアス・リーディングの集大成。
目次
Maison Bardey,at Aden‐Camp
ハラルという迷宮
ダンス、ダンス、ダンス、ダンス!
「イマージュのない」写真は可能か?
オガディンに半身を放って
“リアルな悪夢”
待つこと、遅れること
タジュラーの武器商人
カイロの雑踏で
ランボーVSメネリック〔ほか〕
著者等紹介
鈴村和成[スズムラカズナリ]
1944年生まれ。東京大学文学部仏文科卒。同大学院修士課程修了。横浜市立大学教授を経て、同名誉教授。文芸評論家、フランス文学者、詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
3
『イリュミナシオン』の一篇「運動」…これは世界の征服者たちだ 彼らは個人的な化学の富を求めている。 スポーツと安楽コンフオートが彼らと共に旅をする。 彼らは運んでゆく、この<船>の上に 民族や、階級や、獣の教育を。 休息と眩暈は 大洪水の光の下、 恐るべき研究の夜また夜に。… ランボーの後半生は、詩の断絶ではなく延長線にある。アフリカにおけるランボー研究の第一人者が、天才詩人ランボーの謎の足跡を追って、残された商用書簡や家族への書簡等をもとにその行動を読み解く。見返しに地図あり。2013/03/15
azur
0
興味はあるのだが、私はランボーの詩が読めない。好きとか嫌いとかではなく、ただ意味がわからない。なぜこの単語の後にあの単語がくるのか脈略がつかめず、何についての詩なのかがわからず、すぐ読むのを諦めてしまう。 で、この本は、そういう人の入門用として、だだのバイオグラフィーとしても面白く読めた。 2015/07/08
本の紙魚
0
若くして死んだ天才詩人、詩を捨ててアフリカに渡った後は一切の創作をしなかった…そんな半ば伝説化したランボー像を「では、実際のアフリカでの彼はどうだったのか?」と残された書簡から生活と執筆の真実に迫る一冊。実にマニアック、そしてこれ一冊だけではなくて参考文献にもう一冊わかりやすいものも欲しいくらい。ただ、ランボーもあの時代を生きた一人のフランス人であり、詩作はしなくなってもランボーはやはりランボーだったのがよく分かる。梅毒からのガンで死んだとは知らなかったが、死を目前にして分かり合えなかった母子が気の毒だ。2021/11/13
endormeuse
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弱冠二十歳にして詩作を放棄し、商社員としてアフリカへ出奔したランボー。その後の彼の生き方はわずかに遺された書簡からしか窺い知れないが、その筆致は呪われた詩人の手になるものとしては奇妙なまでに無味乾燥としていた・・・緻密な読解によってランボー後半生の謎に満ちた足跡を辿った評伝的作家論。なかなかマニアックな議論。2019/07/09