内容説明
安芸の国衆から一代にして中国地方を一手におさめる大名へと毛利家を導いた毛利元就。激動の時代にあって元就はどのように領域を拡大し、広大な領国を掌握するに至ったのか。「法制」、「経済」、「意識」の側面から毛利元就勇躍の秘密に迫る。
目次
境目地域の領主連合
第1部 家中支配から領国統治へ(高橋氏の討滅と大宰府下向;郡山合戦と隆元への家督譲与;井上元兼の誅伐と領国「国家」の成立;陶隆房の挙兵と元就直轄領佐東;家中法と領国法;三子教訓状と張良兵書;領国統治と法制度)
第2部 商人的領主と領国経済(安芸国佐東の堀立直正;赤間関問丸役の佐甲氏;雲州商人司石橋氏と杵築相物親方職の坪内氏;出雲国由来村の森氏;硝石の輸入外交と西国大名の自立性;能島村上氏の海上支配権の構造と秀吉政権)
第3部 元就の意識と統治秩序(「書違」のことばとその変化;屋形様の「国家」から「天下」のもとの「国家」へ;毛利氏が用いた文書様式と主従関係;元就と隆元;元就と輝元)
元就が遺したもの
著者等紹介
岸田裕之[キシダヒロシ]
1942年岡山県生まれ。1970年広島大学大学院文学研究科博士課程単位修得。広島大学文学部助教授、同教授、同大学院文学研究科教授、龍谷大学文学部教授を経て、現在、広島大学名誉教授。文学博士。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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厩戸皇子そっくりおじさん・寺
32
毛利元就の最新評伝。副題の「武威天下無双、下民憐愍の文徳は未だ」とは、尼子を倒した毛利の山陰での悪評を忌憚なく伝えた医師・曲直瀬道三の言葉。著者は元就の地元広島大学の教授だが、いやぁ…この本難しかった(笑)。伝記というよりも毛利の統治とルールに関する研究書である。元就贔屓なので何とか読んだ。無論つまらない訳ではない。元就の隆元への家督譲渡の背景には、家来への報償が滞って評判を落とした事の打開であるとか、元就と隆元の私信中に出て来る家来の悪口だとか(笑)、新知見も多く満足。また時々拾い読みしたい。2015/01/04
中島直人
10
(図書館)中世から近世への移行期における毛利家の政治的な体制に関する学術的な考察。面白い読み物ではないが、政権のあり方や、元就と周りの人たちのナマの考え方を知ることができる。今まで知らなかった戦国武将毛利元就。2017/08/18
とし
7
毛利家と元就研究の現段階における決定版。決して読みやすい本ではないが、一次資料からの引用が豊富だし、当時の毛利家の領国統治システムなんかもよくわかる。実際、内容はかなり専門的なので、研究者かよほど基礎知識がある人じゃないと難しいと思う。2017/01/31
MNK2
1
毛利元就ではあるが毛利氏全体の内容でもある。2017/09/05
MUNEKAZ
1
これはなかなか読むのに苦労した本。評伝選の一冊なんだけど、内容は専門的な論文集というもので、元就に関する知識がある程度ないとついていけないと思う。個人的には最後の元就の手紙からその人格面に迫った章が面白かった。伊達政宗なんかもそうだけど筆まめな大名は、書状から人柄も偲ばれて面白い。